研究課題
若手研究
持続可能な社会に向け、様々な化合物を再生可能資源から生産する技術が求められている。バイオディーゼル燃料を生産する際に副産物として発生する廃グリセロールは、未活用な再生可能資源であり、微生物発酵生産の有望な原料として期待されている。本研究では、メタノール資化性細菌を用いて、廃グリセロール中に含まれるグリセロール及びメタノールから、高付加価値化合物(メバロン酸)を高収率で生産する技術の開発を目指す。
廃グリセロールの資源化を目指し、メタノールおよびグリセロールを同時に資化可能なM. extorquens代謝改変株の構築を行った。内在遺伝子Mext_4066を過剰発現させることで、グリセロール単一炭素源で増殖させることに成功した。またメタノール由来の炭素を目的生産物に効率的に利用するため、競合反応を触媒するギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)の破壊を行った。4つのFDH遺伝子を破壊した4重破壊株の作成に成功し、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が喪失していることを確認した。しかしながら、ギ酸の蓄積により増殖阻害が引き起こされ、メタノールを物質生産に利用する際はギ酸代謝の改善が必要であることが示唆された。
廃グリセロールは未活用な再生可能資源であり、微生物発酵生産の有望な原料である。本研究では、メタノール資化性細菌M. extorquensを用いて、廃グリセロール中に含まれるグリセロール及びメタノールから、高付加価値化合物を高収率で生産する技術の開発を試みた。まず、M. extorquensにグリセロール資化能を付与した。グリセロールを資化可能にすることで、元来M. extorquensの細胞増殖に必須である、メタノールのCO2酸化経路の破壊が可能となる。この代謝改変により、原料メタノールを全て物質生産に利用することができ、目的生産物収率の飛躍的な向上が期待される。
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