研究課題/領域番号 |
21K14778
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
高野 壮太朗 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, NIMSポスドク研究員 (90896979)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 代謝モデル / 休眠 / 1細胞観察 / 不均一性 / 履歴 / 細菌 / 飢餓応答 / 1細胞解析 |
研究開始時の研究の概要 |
地球上の多くの微生物が、土壌や深海などの飢餓環境に曝され、代謝活性を著しく低下させた休眠状態にあることが知られている。これらの微生物がどのように休眠状態から抜け出し増殖を再開しているかは、環境中の微生物の生態を理解する上で極めて重要なテーマの一つとなっている。一方で、休眠状態からの再増殖を促す環境因子を、個々の微生物が持つ生理機能と結び付け包括的に理解した研究例は未だに少ない。本研究課題では、飢餓環境に存在する微生物が、どのような環境変化(基質の到来)にいち早く応答し、自身の増殖活性を回復させるかを、1細胞観察系と代謝モデルを統合したアプローチ によって明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究では、休眠状態にある細菌の覚醒プロセスにおける確率性と基質依存性を明らかにすることを目的とした。初めに飢餓状態にある数千のクローナルな大腸菌の増殖を、1細胞観察系を用いて長期間観察し、新たに炭素源を与えてから再増殖するまでの時間と増殖履歴との関係性を調べたところ、速やかに増殖を再開する細胞が、特徴的な増殖履歴を有する特定の系譜に偏って存在することを明らかにした。また、ゲノムスケール代謝モデルを基に、休眠覚醒に対する基質至適性を検証したところ、各炭素源の至適性が、ごく一部の代謝物のフラックスと強い相関を示すことが明らかとなり、炭素源の至適性を代謝反応と関連付けて理解することが可能となった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地球上に存在する微生物のうち増殖活性を示す微生物は1%にも満たないと言われ、有用微生物の分離培養を妨げる一つの要因となっている。 飢餓状態からの覚醒には、個々の細胞の生理状態のばらつきや、増殖基質の至適性の影響が予想されていたが、技術的な難しさからこれらの関係性を詳細に明らかにすることは困難であった。本研究では、細胞毎の再増殖の様子を1細胞レベルで長期間観察し、従来見逃されていた休眠覚醒過程に潜む増殖履歴の影響を高い解像度で明らかにした。また、増殖基質の至適性をゲノム情報を基に解析する手法を確立し、代謝ネットワークの観点から休眠覚醒プロセスを理解可能なプラットフォームの構築を行うことができた。
|