研究課題/領域番号 |
21K14806
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 愛健 九州大学, 農学研究院, 助教 (90809435)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 代謝異常 / Smek2 / ゲノム編集 / 実験動物 / 高コレステロール血症 / 三大栄養素代謝 / 糖代謝 / ホモシステイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は代表者らが食事誘導性高コレステロール血症の原因遺伝子として同定した、遺伝子Smek2の機能性の解明に取り組むものである。Smek2の機能をより厳密に解析するため、ゲノム編集技術を利用してSmek2ノックアウトラットを確立する。また、Smek2の機能異常によって食事誘導性高コレステロール血症以外の病態の発生が予測されるため、その側面を評価し、新規モデル動物としての可能性も探索する。
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研究実績の概要 |
糖代謝異常は、さまざまな疾患のリスクを上昇させるリスク因子として、広く認識されている。申請者らが見出した新規な糖代謝制御遺伝子であるSmek2(Suppressor of mek1, homolog 2)は解糖系の律速酵素である肝臓型ホスホフルクトキナーゼ(PFKL)の発現制御を介して肝臓の糖および脂質の代謝を制御している。しかし、Smek2に欠損変異を持つExHCラットにおいて、糖代謝との直接の関連が指摘されていない高ホモシステイン血症や、脳での不溶性アミロイド蓄積量の増加などが確認されている。また、Smek2の機能解析に関する先行研究の問題点として、Smek2の単一ノックアウト系が確立されていない点があった。本研究はSmek2単一ノックアウトラットの作製を試み、作製したノックアウトラットの代謝を評価することでSmek2の機能の全容を解明することを目指す。また、先行研究において確認されたホモシステイン血症やアルツハイマー型認知症の新規モデル動物としての可能性を追求する。 本年度は、昨年度に引き続き、ゲノム編集によるSmek2ノックアウトラットの作製に取り組んだ。過排卵誘導の方法の見直しを行い、排卵数の増加に成功し、ゲノム編集実験を現在行っているが、ノックアウトラットの作製には至っていない。 また、ゲノム編集実験と並行して、in vitroにおけるSmek2過発現実験を行った。ラット肝臓細胞においてSmek2を過発現させると、脂肪酸合成が促進されることなどを観察した。それと同時に、細胞の生存あるいは細胞周期の制御に関与している可能性を見出したため、令和5年度はそのメカニズムについても検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集によるSmek2ノックアウトラットの作製については現在作成作業を行っている段階である。まだノックアウトラットを得る段階には至っていないが、着実に手技は向上している。実験計画からはやや遅れているが、作製にかかる操作自体は順調に行えているため、ノックアウトラットの作製は近くF0世代のラットが生まれる見通しである。また、並行して行っている細胞におけるSmek2過発現実験ではSmek2が関与していると考えられていた代謝の制御を実際に観察することができた。また、細胞の増殖あるいは細胞周期のコントロールに関与している新たな可能性を見出すことができた。よって、研究全体として”おおむね順調に進展している”と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
Smek2ノックアウトラットの作製については、昨年度に引き続き、ゲノム編集実験を継続する。生まれたF0世代は遺伝子型を確認した後、バックグラウンド系統と交配し、ヘテロノックアウトラット(F1世代)の作製、F1同士の交配によるF2世代の作製と続け、Smek2ノックアウトラットを系統として確立する。作製したSmek2ノックアウトラットについて、コレステロール非負荷・負荷条件で飼育し、代謝を評価することで、生体におけるSmek2ノックアウトの影響を評価する。 並行して、in vitroにおけるSmek2過発現実験について更なる検討を行う。過発現用のベクターは令和3年度で完成しているが、令和4年度に行ったラット肝臓細胞株に対するSmek2過発現実験では、先行研究でターゲットである可能性が示されている脂質合成系遺伝子、解糖系遺伝子、アミノ酸代謝関連遺伝子についてその影響を観察するに至ったが、発現誘導を強くかけすぎた可能性もあるため、その条件を再検討し、再度評価を行う。また、令和4年度に新たに細胞周期の制御などにも関わる可能性を見出したため、そちらの検討も併せて行う。
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