研究課題/領域番号 |
21K14814
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東北大学 (2022) 東京大学 (2021) |
研究代表者 |
古川 恭平 東北大学, 農学研究科, 学術研究員 (10867013)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ポリアミン / 肥満 / 抗肥満 / インスリン / 抗肥満効果 / マルチオミクス / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリアミンは穀類、大豆製品や肉類など多様な食材に含まれる化合物であり、近年様々な健康効果があることが知られ始めている。本研究の研究ターゲットとなる、肥満は特に先進国で問題となっており、様々な疾患に関与するため、健康寿命を縮小する原因の一つになっている。そこで、本研究は、抗肥満効果という観点からポリアミンの有用性を明らかにする。また、ポリアミンの作用メカニズムを抗生物質や網羅的解析により調べることで、栄養生理学の発展にも貢献することができると考えられる。
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研究実績の概要 |
ポリアミンは様々な食品に含まれる食品成分であるが、健康効果に関する報告は他の食品成分と比較すると少なく、この効果を追究する意義は栄養学的に非常に大きい。本研究では、肥満は様々な疾患の発症ならびに老化反応の促進に関わることに着目し、ポリアミンの抗肥満効果を検証する。昨年度において、高脂肪食による肥満誘導モデルにおいてポリアミンの抗肥満効果を検討したところ、体重減少効果は認められないものの、プトレシンとスペルミジンの経口摂取によりインスリン抵抗性を改善することを示し、肥満に伴う機能障害の改善効果を示している。 本年度では、高脂肪食とは異なる肥満誘導法である、ウエスタン食を用いてポリアミン(プトレシンおよびスペルミジン)の抗肥満効果の検討を行った。その結果、ウエスタン食によって増加する体重や脂肪重量は2種のポリアミンの飲水投与によって改善されなかった。また、経口グルコース負荷試験においても、ウエスタン食群における血中グルコース濃度の増加をポリアミンは改善しなかった。血漿を用いた生化学検査では、ポリアミンの添加の有無に関わらずウエスタン食により血中コレステロール濃度およびグルコース濃度は増加した一方で、ウエスタン食により増加した血中トリグリセリド量および遊離脂肪酸濃度はポリアミンの添加により一部抑制された。肝臓中のトリグリセリドおよびコレステロール濃度はポリアミンの添加の有無に関わらず、ウエスタン食により増加した。したがって、ウエスタン食による肥満誘導モデルにおいては、ポリアミンは血中パラメーターを一部改善することが示されたが、その効果は高脂肪食による肥満誘導モデルと比較すると限定的であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度では、昨年度とは異なる肥満誘導食であるウエスタン食を用いて抗肥満効果を検討した。ウエスタン食は予想通り高脂肪食と比較すると、著しい肥満誘導スピードを示し、様々なパラメーターにおいて著しい生体機能の悪化を示唆するデータを得た。しかしながら、ポリアミンはこれら項目のほとんどにおいて、改善が認められず、昨年度の高脂肪食で得た結果を超える結果を得ることはできなかった。 その一方で、異なる餌でポリアミンの効果が異なるという事実はポリアミンの作用点を推察することを可能とする。ウエスタン食は高脂肪・高コレステロール食であり、また、構成される脂肪酸組成も異なるため、このような違いがポリアミンの効果の違いを生んだと考えることができ、ポリアミンの作用の理解という点においては今年度得たデータは意義があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までにおいて、ポリアミンは強い抗肥満効果を持つというより、肥満に伴う生体機能の低下を改善する効果を持っていることが推察された。そこで、過去のサンプルを用いてポリアミンの作用メカニズムを検討する。具体的には、高脂肪食を用いた実験の肝臓サンプルを用いてRNAシーケンス解析を行い、ポリアミンの飲水投与によって変化した遺伝子群を明らかにする。その後、ソフトウェアを用いた解析を行い、上流因子の推察などを行い、ポリアミンの作用メカニズムを構築する。 その後、その推察されたメカニズムを検討するため、高脂肪食を用いた動物実験もしくは、細胞を用いた実験を展開し、ポリアミンの代謝組織でのどのように作用するのかを証明していく。
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