研究課題/領域番号 |
21K14815
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
栗谷 健志 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10835309)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | EGCg / 細胞融合 / 破骨細胞 / カテキン類 / RAW264.7 / カテキン / 多核化 |
研究開始時の研究の概要 |
緑茶抽出物とそれに含まれるカテキン類は、細胞の多核化を抑制し、骨吸収を行う破骨細胞への分化を抑制することが知られている。我々は緑茶抽出物やカテキン類が、分化誘導のない状態では逆に細胞の多核化を促進することを見いだした。そのメカニズムを明らかにすることは、骨代謝のシグナル伝達機構の全貌の解明に繋がると考えられる。本研究においては、カテキン類添加による細胞多核化に関わる因子を特定し、その細胞多核化亢進機構を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
前年度までの一連の解析からエピガロカテキンガレート(EGCg)による細胞融合にはストレス関連因子,特に活性酸素(ROS)が関与することが示唆されたため,それらが細胞の融合・遺伝子発現・機能に与える影響の検討を行った。 破骨前駆細胞であるRAW264.7細胞を培養用プレートに播種し,EGCgをはじめとした各種薬剤を添加し37℃のインキュベーター中で2-5日間培養した。比較対象として薬剤未処理群あるいは破骨細胞への分化誘導を行ったRANKL/M-CSF添加群を用いた。 実験の結果,EGCg添加によって細胞融合が促進する際,細胞内のROSレベルの上昇が伴うことが示された。また,EGCgと同時に抗酸化物質を添加した際には細胞融合が抑制された。このことから,EGCgはROSの産生を介して細胞融合を促進していることが示唆された。細胞からRNAを抽出しリアルタイムPCRにて解析した結果,EGCg添加によるDC-STAMP発現の上昇は,抗酸化物質の同時添加により抑制された。一方,破骨細胞関連遺伝子であるNFATc1とTRAPに関しては,EGCg添加による発現上昇は認められなかった。続いて,EGCgによって形成される多核細胞の機能として貪食作用に着目し,蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡により核や蛍光ビーズの可視化・撮影を行った。解析の結果,EGCg添加群における融合した細胞は,より大型のビーズを細胞内に取り込む可能性が示唆された。本研究の目的としていたEGCgによる細胞融合に関与する因子の特定に関して,研究結果をまとめ論文投稿および学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的であった,EGCgによる細胞融合に関与する因子の特定に至り,概ね順調であったと言える。ギムザ染色や遺伝子発現解析などの一連の実験から,EGCgが酸化ストレスの産生を介して細胞融合を促進していることが示唆された。細胞試験の多くは予定通り進んだ一方,共焦点レーザー顕微鏡を用いて三次元的に細胞内をイメージングする実験が機器の故障のためずれ込む形となった。検討結果を踏まえて次の実験を変更,微修正することはあったが,全体的に計画自体はスムーズに進めることができていた。また,予定通り年度内に論文の投稿およびアクセプトを達成し,学会発表を行った点でも進捗に遅れは生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行った実験を補足する項目や,仮説を補強するための検討を中心に追加実験を行い,細胞融合制御機構をさらに詳しく調べていく。これまでのデータをもとに,酸化ストレスや細胞融合に関与すると予想される因子を中心に,残りの期間で可能な限り解析を行う。実施する内容としては細胞試験が中心となるが,達成できる可能性が高い項目を優先して取捨選択する。また,年度内に学会発表を行う予定であるため準備を進める。
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