研究課題/領域番号 |
21K14836
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
寺島 義文 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 主任研究員 (90414846)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | サトウキビ / エリアンサス / 属間雑種 / 農業特性 / 根 / 繊維組成 / 窒素吸収 / 遺伝資源 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の食料、エネルギー生産上の重要作物であるサトウキビの耐干性や窒素利用効率の向上に向けて、根系特性の遺伝的改良は重要な育種戦略となり得る。本研究では、根系が深く大きく発達するため干ばつや低肥沃度土壌への適応性が優れるエリアンサス(Erianthus arundinaceus)とサトウキビとの属間雑種を利用し、サトウキビへのエリアンサス根系特性導入の可否とその生育上の効果、および、根系特性に関係するエリアンサス染色体の解明を実施する。本研究により、サトウキビの根系改良に向けた新しい育種素材、育種戦略を構築するとともに、他作物の育種分野に属間交雑を利用した根系改良という新しい可能性を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1集団の地上部特性及び根系特性の変異を明らかにするとともに、それら特性とゲノム情報との関連を明らかにすることを目的としている。R5年度は、サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1集団(84系統)について、肥料吸収特性および繊維組成の変異を明らかにするために、R4年度に取得した乾物サンプルを利用して、地上部の窒素、リン、カリ含率、地上部および地下部の繊維組成(デタージェント法)のデータを取得した。 窒素、リン、カリ含率では、サトウキビよりエリアンサスで含率が高かった。属間雑種F1集団内には、それぞれの含率に大きな変異が確認されたが、集団平均値では、リンとカリの含率にはサトウキビと大きな差はなかった。一方で、窒素含率の平均値は、両親の中間親値に近く、有意にサトウキビより高かった。サトウキビと同程度の地上部バイオマスでも窒素含率が高い系統があることから、エリアンサスの窒素吸収特性が導入されている雑種の存在が示唆された。繊維組成については、地上部、根ともにサトウキビよりエリアンサスでリグニンの割合が高かった。属間雑種F1集団においても、集団平均値は有意にサトウキビより大きく、属間交配により地上部、地下部のリグニンの割合が増加することが確認された。根のリグニン含率は耐乾性や耐虫性等のストレス耐性とも関連することから、サトウキビとエリアンサスを交雑することで根のリグニン含率の増加を通したサトウキビのストレス耐性の向上が期待できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1集団の地上部特性及び根系特性の変異を明らかにするとともに、それら特性とゲノム情報との関連を明らかにすることを目的としている。今年度は、肥料吸収特性および繊維組成の変異を明らかにするとともに、それら特性と地上部や地下部との相関関係を明らかにした。一方で、属間雑種F1系統集団のゲノム情報を利用した遺伝的多様性と地上部や地下部特性との関連についての解析を終了することができなかった。従って、本研究は「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでに取得したゲノム情報に関するデータを利用して属間雑種集団の遺伝的多様性を明らかにするとともに、地上部や地下部特性との関連についての解析を実施する。
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