研究課題/領域番号 |
21K14861
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
浅野 郁 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (60840577)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 種子食性昆虫 / マスティング / 一斉開花 / ゾウムシ / キクイムシ / どんぐり / 熱帯雨林 / 生物間相互作用 / 生物多様性 / フタバガキ科 / 花食性昆虫 / 東南アジア熱帯雨林 |
研究開始時の研究の概要 |
東南アジアの低地フタバガキ混交林では、数年に一度の不規則な間隔で、林冠を構成する高木樹種が群集規模で繁殖を同調させる現象が観察される。この“同調繁殖期”では、林内で観察される植物繁殖器官の種類や量が急増する。一方、“非同調繁殖期”では、中低木層を中心とする樹木種が低密度で様々な花や果実をつける。植物の繁殖器官を餌として利用する昆虫は、このダイナミックに量が変動する資源に対してどのように適応しているのだろうか。本研究は、同調繁殖現象が観察されるマレーシア・サラワク州の複数の国立公園を調査地とし、花果食性昆虫の群集構造および各昆虫が餌として利用している植物種の時空間的変動の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
東南アジアの低地フタバガキ混交林では、数年に一度の不規則な間隔で、林冠を構成する高木樹種が群衆規模で繁殖を同調させる現象が観察される。この“同調繁殖期”では、林内で観察される植物繁殖器官の種類や量が急増する。一方、“非同調繁殖期”では、中低木層を中心とする樹木種が低密度かつ少量で多様な花や果実をつける。植物の繁殖器官を餌として利用する昆虫(以下、花果食性昆虫)が、この大きく変動する餌資源に対して、どのように適応しているのかは未だ明らかになっていない。そこで本研究では、昆虫の資源利用様式の“時空間的変動性”に着目し、①非同調繁殖期に出現する花果食性昆虫は同調繁殖期に出現する昆虫と類似しているか、②これらの昆虫は利用する植物種を時空間的に変化させることにより個体群を維持しているのではないか、という2つの問いの解明を進めている。 2023年度は、COVID-19の影響で2019年末から中断していた林床性樹木の繁殖フェノロジー調査を再開させた。約3年間中断していたため、対象木の確認や番号タグの付け替え作業などのために2度、現地に渡航した。また、調査の再開にあたり、FileMakerで作成したフェノロジー調査用のアプリの試運転も開始した。野外調査の結果、調査地では2019年以降、林冠構成木の大規模な同調繁殖は起きておらず、3年以上の非同調繁殖期が続いていることが明らかとなった。 ボルネオ島での野外調査に加え、昨年度から開始した国内での種子食性キクイムシ調査も継続して実施した。このキクイムシは、当初の研究計画で記載していたフタバガキ科の種子食性キクイムシと同属種であり、日本国内でブナ科種子を寄主としている。松江近郊で行った野外調査では、数十個体を採集することができ、今後、食性幅などの詳細を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はボルネオ島における野外調査も本格的に再開することができた。また、COVID-19の影響により遅れていた海外での野外調査を補完するために開始した国内での調査も軌道に乗ってきたと言える。しかし、2021から22年度の海外渡航制限及び育児の影響はまだ挽回できておらず、”やや遅れている”と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、過去に採集した昆虫標本の整理や林床性樹木を対象とした繁殖フェノロジー調査のデータ整理を進め、まとまり次第データペーパーや論文として公表していく。また、研究協力者との連携を強め、非同調結実期の林床性樹木の繁殖フェノロジーや花果食性昆虫の採集を進める。
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