研究課題/領域番号 |
21K14862
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浜島 りな 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20784408)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | バキュロウイルス / 昆虫細胞 / タンパク質発現系 / リボソーム / カイコ |
研究開始時の研究の概要 |
バキュロウイルス発現系は、昆虫を宿主とするバキュロウイルスと昆虫細胞を組み合わせたタンパク質大量発現系であり、様々な分野で利用されている。その一方で、大量発現が困難な事例もあり、生産性の向上が大きな課題となっている。この発現系は、バキュロウイルスによる宿主細胞のタンパク質合成能の制御を利用したものであるが、それを担う分子機構は解明されていない。本研究では、感染細胞内におけるタンパク質合成変動の包括的な理解により、「バキュロウイルスがどのように細胞のタンパク質合成能を制御しているのか」を明らかにする。そして、得られた知見を基に、生産性を飛躍的に向上させた改良型タンパク質発現系の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
バキュロウイルスは、宿主細胞の機能を高度に制御し、自身の増殖を遂行する。その最たるものは、細胞タンパク質の合成の遮断と、単一のウイルスタンパク質 (ポリへドリン) の爆発的な発現誘導であり、感染の最終段階では、ポリへドリンは結晶体を形成し、その量は細胞の全タンパク質量の約30-50%という驚くべき割合になる。しかし、大量発現を担う分子機構の詳細は解明されていない。本研究は、バキュロウイルスが単一のウイルスタンパク質の大量発現を担う分子機構の解明を目的として行われ、本年度と研究期間全体を通じて以下の成果を得た。 ①タンパク質合成を担うリボソームに着目した解析: ショ糖密度勾配遠心法によるリボソームの分画の検討を進めたが、分画の再現性が低いという問題が生じた。そこで、本年度は、サイズ排除クロマトグラフィ (SEG) を利用したリボソームの分画について検討した。カイコ由来培養細胞 (カイコ細胞) を用いた検討の結果、SEGを用いると再現度高く分画できることがわかった。SEGによるバキュロウイルス感染カイコ細胞におけるリボソームのプロファイルの調査を行った結果、感染に伴うリボソーム量の増加が示唆され、バキュロウイルスの感染により、細胞のリボソームの生合成量が増加する可能性が示された。 ②バキュロウイルス感染を負に制御する機能をもつ宿主タンパク質: 我々の研究室で進めているカイコ細胞のバキュロウイルス感染に対する応答の解析から、バキュロウイルス感染を負に制御する機能をもつと予測される宿主 (カイコ) のタンパク質DHX9 (Bm-DHX9) を見出し、当初の研究計画とは異なる方向性からのアプローチを進めた。その結果、Bm-DHX9の発現を抑制すると、ウイルスタンパク質の発現量が有意に増加することが明らかとなり、本年度、この成果をまとめた論文を国際誌に発表した。
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