研究課題/領域番号 |
21K14863
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 守 京都大学, 農学研究科, 助教 (50806958)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 社会性昆虫 / 分業 / シロアリ |
研究開始時の研究の概要 |
生物社会の役割分担の仕組みを理解することは、生物学における最重要課題の一つである。社会生活を営む生物では、高度な分業が発達しており、様々な社会役割を担う個体が集まることにより、集団としての性質が現れている。どのようにその役割分業が決定されているのか知ることは、複雑な社会の成り立ちについての理解を深めるだろう。本研究では、社会性昆虫をモデルとして、彼らの社会を支える分業システムとその決定に関わる分子機構を最先端の分析手法を駆使して解明する。
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研究実績の概要 |
社会生活を営む生物では、高度な分業が発達しており、異なる社会役割を担う個体が集まることにより、集団としての性質が創発している。その役割分業の決定メカニズムを知ることは、複雑に組織化された社会の成り立ちについての理解を飛躍的に深めるだろう。社会性昆虫であるシロアリは、両性が協働する社会を維持しており、繁殖と労働の分業に加え、雌と雄の間でも役割の分業が見られる。このような性という遺伝的に不変な要素の上に、分業という可塑的な要素が加わった分業システムは、不妊カーストの出現という最重要課題へのアプローチを可能にする画期的な系である。本研究は、社会性昆虫の根幹を成す分業システムとその決定に関わる分子機構を解明する。 本年度は、異なるカースト・齢・性別について行動解析を行い、コロニー内で担う役割の差異について調査した。その結果、王・女王のいる王室を起点に各カーストがコロニー内でどのような分布をするか明らかにした。また、観察された行動の種類(採餌・卵の世話・他個体へのグルーミング・巣の補修・防衛)を比較し、カースト・齢・性別・コロニー内の場所特異的な行動の差異を明らかにした。 また、野外のコロニーにおいて幼虫の分化運命に父性・母性効果が大きく影響することを突き止めた論文が、iScienceに掲載された。本結果は、ゲノム上の塩基配列によらない遺伝因子が、真社会性昆虫の分業システムを支えていることを示すものであり、分業システムの分子基盤の解明につながる端緒となることが期待される成果である。 本年度は本成果を受け、性的発達状態の異なる王と女王の交配実験を行い、得られた子のカースト分化運命を調査した。その結果、精子を介して伝わるエピジェネティックな遺伝情報が、子の分化運命を変えることを突き止めた。今後、その分子基盤の特定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年目の結果を踏まえ、順調に発見を掘り下げることができており、順調であったと言える。具体的には、真社会性昆虫の分業システムを支えるゲノム上の塩基配列によらない遺伝因子が精子を介して伝わることを突き止めたことにより、その分子基盤の特定に大きく近づくことができた。また、分業の基盤となるコロニー内での分布と行動のカースト・齢・性別特異性が当初予定より早く特定できたことにより、分業の全貌を把握することができた。 本プロジェクトの中で発見されたカースト分化運命に対する父性・母性効果に関する世界で初めての報告が国際学術誌iScienceに掲載された。また、シロアリの王と女王に特異的な資源の利用能力が生殖の鍵となっていることを明らかにした論文が国際学術誌Proceedings of the Royal Society Bに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
野外コロニーにおけるカースト分化運命が、親である王・女王の性的発達度合いによって説明されるか調査する。 次に、昨年度の研究から精子を介して子の分化運命に影響する機構の存在が明らかになったことから、精子を介して伝わるゲノム上の塩基配列によらない遺伝因子の特定を行う。
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