研究課題/領域番号 |
21K14864
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
宮国 泰史 琉球大学, 地域連携推進機構 地域共創企画室, 特命講師 (00869290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 社会性昆虫 / フェロモン / 化学分析 / カースト分化 / 個体間相互作用 / 王フェロモン / シロアリ / 繁殖分業 / カースト |
研究開始時の研究の概要 |
琉球列島に生息するスギオシロアリにおいて,オス擬職蟻が補充王(一次王の消失時に生産され,コロニーの生殖虫の座を継承する個体)に分化する際に,他の擬職蟻個体からの受け取る糞の成分分析をおこない,生殖虫不在時の擬職蟻の糞に含まれると予想される,オスの生殖虫分化を制御するKing物質の特定を行う.さらに,この物質のシロアリの体内生理機構への影響や近縁種および非近縁種のシロアリで適用可能性,物質の多機能性について調査を行い,この物質の生態的特性の解明を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究では,スギオシロアリのオスワーカーの糞に含まれる化学成分を分析し,社会性昆虫のカースト分化を制御するKing物質の同定を目指した.高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により,候補成分の絞り込みに有用な化学的成分ピークについて,いくつかの候補を得ることに成功した.また,糞には他の植物残渣に比べて2倍以上のリグニンが含まれることがわかり,新たな接着素材開発への可能性が示された.さらに,オスワーカーの生殖虫分化には他個体の存在やCO2濃度など複雑な条件が影響することが判明し,従来の想定を超える多様な要因が関与していることが明らかになった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,社会性昆虫におけるKing物質の同定に取り組み,候補成分の絞り込みに有用な化学的成分ピークについて,いくつかの候補を得ることに成功した.また,ワーカーの生殖虫分化における環境(周辺の無機的環境のほか,自分の周辺に存在する自分以外の他個体を含めた環境を想定)条件が生殖分化に与える影響についても新たな進展が見られた.これにより,昆虫社会におけるカースト分化のメカニズムに関する理解が深化し,昆虫生理学等の分野や社会性昆虫の適応戦略に関する新たな視点を提供できるものと思われる.また,糞中に含まれる高リグニン量の発見は,新たな接着素材の開発につながる可能性があり,工業分野での応用が期待される.
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