研究課題/領域番号 |
21K14878
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
須貝 杏子 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20801848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | コナラ属 / 隠岐諸島 / 種間交雑 / ナラ類 |
研究開始時の研究の概要 |
生物は、種間交雑によって親種元来の分布域より幅広い環境に進出する可能性がある。日本海島嶼地域の1つである隠岐諸島は、狭い島内で冷温帯林構成種と暖温帯林構成種が混生し、植物種の分布が垂直的に圧縮した特徴的な植生が形成されている。その中で、コナラ属の3種(ミズナラ・カシワ・コナラ)では、島内で頻繁に交雑が生じていると考えられる。そこで本研究では、隠岐諸島内のミズナラにおける現在の遺伝子流動と、コナラ属3種における交雑の頻度と交雑帯の空間遺伝構造を調べる。これにより、近縁種間の交雑と個々の種の分布域の拡大の関係や、特異的な植生の形成に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
生物は、種間交雑によって親種元来の分布域より幅広い環境に進出する可能性がある。日本海島嶼地域の1つである隠岐諸島は、狭い島内で冷温帯林構成種と暖温帯林構成種が混生し、植物種の分布が垂直的に圧縮した特徴的な植生が形成されている。その中で、コナラ属の3種(ミズナラ・カシワ・コナラ)では、島内で頻繁に交雑が生じていると考えられる。そこで本研究では、隠岐諸島全域に広く分布するミズナラの空間遺伝構造をマイクロサテライトマーカーにより明らかにし、他種との交雑の頻度やそれによる種の分布域の拡大の関係を明らかにしようとしている。 諸島内でコナラ属が分布する地域を探索し、島前と島後合わせて13地点で形態計測用の葉とDNA解析用の葉を3種合わせて360個体から採取し、比較のために本土の奥大山でミズナラ30個体を採取した。葉形態の5形質を計測すると同時に、22座のマイクロサテライトマーカーで遺伝子型を決定した。葉形態に関しては、1種のみが生育している地点では典型的な形質をもつ一方、複数種が混生している地点では葉形態に大きな変異が見られ、交雑の可能性が示唆された。遺伝解析については、種間で分化が見られた一方で、クラスターの混交があった。また地点によってクラスターの混交の割合は異なり、個体レベルで雑種の割合が多い地域がいくつか明らかになった。 2025年度は、個体数が十分でない集団の追加サンプリングと解析を行うと同時に、形態と遺伝の情報を組み合わせた解析を行い、各地点での交雑の頻度と交雑帯の空間遺伝構造を明らかにする。これにより、近縁種との交雑による遺伝子浸透が生じているのかを明らかにし、雑種形成がもたらす植物の進化や環境適応の仕組みの理解、ひいては生物多様性の進化維持機構の理解に繋げる。隠岐諸島・中国山地の比較により、隠岐諸島の特 異的な植生の形成との関係を考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の中心となる形態計測と遺伝解析が進み、結果の概要が見えつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
個体数が少ない種・集団で追加のサンプリングを行う。特に、島前のサンプルを充実させること、3種の混生があり、交雑の頻度が高いと思われる集団で追加採取を行うことを目標とする。本土側のサンプルで、カシワとコナラも1集団ずつ追加する。形態と遺伝の情報を組み合わせた解析を行い、各地点での交雑の頻度と交雑帯の空間遺伝構造を明らかにする。
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