研究課題/領域番号 |
21K14886
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 栞 北海道大学, 農学研究院, 助教 (20867155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 繊維 / 生分解性プラスチック / バイオマス / 多糖類 / イオン液体 / アセチル化 / 結晶構造 / カードラン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、低炭素社会の実現と環境保全の観点から、再生可能資源 (バイオマス) を原料とし、自然環境中で分解される「生分解性バイオマスプラスチック」が注目されている。 植物や微生物が作る多糖類は、化学修飾によって多様な物性を発現するため、原料として有望であるが、生分解性を両立するには「置換度の低い多糖誘導体」でなくてはならない。しかし、低置換度の多糖誘導体は溶解性や熱溶融性が乏しく、成形加工が困難である。本研究では、多糖類を溶解し、化学修飾反応の触媒としても機能する「イオン液体」を活用し、低置換度の多糖誘導体を合成した後、反応溶液から直接紡糸を行う“多糖類の化学修飾・繊維化一貫プロセス”を開発する。
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研究実績の概要 |
低炭素社会の実現と環境保全の観点から、再生可能資源(バイオマス)を原料とし、自然環境中で水と二酸化炭素にまで完全に分解される「生分解性バイオマスプラスチック」の開発と普及が望まれる。植物や微生物が作る多糖類は、化学修飾によって多様な物性を発現する有用な素材であるが、生分解性を両立するためには、「置換度の低い多糖誘導体」でなくてはならない。しかし、溶解性や熱溶融性に乏しい低置換度の多糖誘導体は、既存の技術では成形加工できないため、従来、部材化されてこなかった。 本研究の目的は、難溶性の多糖類を溶解し、また、エステル化などの化学修飾反応の触媒としても機能する「イオン液体」を活用し、低置換度の多糖誘導体の合成と成形加工を一挙に実現する「化学修飾・繊維化一貫プロセス」の構築、および多糖誘導体の構造と材料物性の相関解明である。 2022年度は、β-1,3-グルカン(カードラン)を対象に、イオン液体を溶媒かつ触媒として使用して「アセチル化」を行い、置換度0.1~1.5のカードランアセテートの合成に成功した。さらに、アセチル化反応後の溶液を直接、水を凝固浴とした湿式紡糸に供する「化学修飾・繊維化一貫プロセス」に供したところ、置換度0.1~1.0のカードランアセテート繊維の調製に成功した。また、各種繊維の置換度と結晶構造や材料特性との相関を解明した。以上の成果は、Green Chemistry誌に原著論文として掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の目標としていた「多糖類の化学修飾・湿式紡糸一貫プロセス」の確立に至り、また、カードランアセテートの置換度と材料物性の相関を解明したことから、本研究課題は、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度(2023年度)の目標は、これまでに作製したカードラン再生繊維および低置換度のカードランアセテート繊維の生分解性試験を実施し、置換度と生分解性の相関を解明することである。 また、カードラン由来の繊維は、セルロース由来の繊維と比較して軟らかく伸張性に優れる点が特徴であるが、逆に捉えれば、強度的には劣るとも言える。そこで、カードランやα-1,3-グルカンの再生繊維を対象とした新規な二次延伸加工法を開発し、繊維の高強度化を図る。
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