研究課題/領域番号 |
21K14891
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 岩手県立大学盛岡短期大学部 |
研究代表者 |
大澤 朋子 岩手県立大学盛岡短期大学部, その他部局等, 教授 (30870414)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 木材耐久性 / 野外暴露試験 / 含水率 |
研究開始時の研究の概要 |
近年は木材の環境親和性を活かした屋外使用の木材・木製品が注目されている。屋外木製品等を長く安全に使用するためには、木材・木製品の耐用年数が予測できるようになることが必要である。本研究においては、欧米で進んでいる非接地用途木材の耐久性評価に適した新しい非接地型野外試験を採用し日本産樹種を中心とした木材の耐久性評価実績を蓄積するとともに、わが国では極めて取り組みの少ない試験体の含水率経時変化情報を取得し、木材が受ける温度と水分の暴露量によって腐朽度との関係性を示す温度・水分用量応答モデルを参考に、室内強制腐朽試験での検証を含めて耐用年数評価に活用可能な関係式を提案することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究においては、ヨーロッパで研究が進んでいる非接地型の野外試験結果を基とした木材が受ける温度と水分の暴露量によって腐朽度との関係性を示す温度・水分用量応答モデルに着目し、日本産樹種に適用可能な木材の腐朽と含水率の関係を検討し、耐用年数評価に活用可能な関係式として提案することを目的としている。 実験計画の中心である、わが国では事例の少ない非接地型の野外試験:ダブルレイヤー試験と、わが国では取り組みの見られない、野外試験時の経時的な木材含水率情報の取得については2020年6月から開始した。現在は、先行試験樹種(スギ、ヒノキ、オウシュウアカマツ、スプルース)5条件(スギのみ心材・辺材)において3年間、カラマツ、ヒバ、およびスギ心材のシングルレイヤー(易乾燥条件)の3条件において2年間のデータを取得することができ、現在も継続中である。野外試験により、樹種ごとの含水率の経時変化が異なることが明らかとなり、半年ごとの劣化度評価と併せて腐朽との関係性を確認している。一方室内試験においては、関連するヨーロッパ規格や日本産業規格を参考として吸水性評価試験を行い、屋外暴露時の含水率推移や腐朽進行との関連性を検討した。その結果、吸水性試験は概ね屋外暴露時の含水推移と合致し、試験した樹種の中では、水分抵抗性が腐朽進行の低減に最も影響していたのはスプルースであり、日本産樹種の多くは水分抵抗性よりも心材耐久性の影響が強いことが分かった。これは2023年9月の日本木材保存協会年次大会において報告を行った。また、先行研究の多いヨーロッパ等の意見を聞くため、2024年6月のInternational Research Group on Wood Protectionの年次大会において発表を予定している。屋外暴露試験の長期的なデータ取得、関連する室内試験との相互評価について、取りまとめ準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施者は、2021年10月より研究機関を異動し、現所属機関において室内強制腐朽試験等の実施体制の構築に時間を要していた。2023年度に設備機器等の導入を完了させ、体制を概ね整えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
実施者の所属機関の異動により、野外試験地(秋田)と現所属機関(岩手)との地理的距離が生じたが、野外試験については前所属機関での研究協力者との協力体制を構築し、継続試験を行っている。実験室レベルの検証試験については、現所属機関にて設備機器の導入を完了させ、予定計画の遂行を目指して進めている。
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