研究課題/領域番号 |
21K14895
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阪井 裕太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30849287)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | プール制 / 自主的漁業管理 / コミュニティーベース管理 / 沖合底曳網漁業 / 大中型まき網漁業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、漁業者が自主的な管理を実施しており、かつ詳細な漁船レベルデータが利用可能な北海道沖合底曳網漁業および北部太平洋大中型まき網漁業に焦点を当てる。漁獲成績報告書および船間無線通信データというビッグデータを利用し、これに機械学習の技術を応用することで、自主管理に特有の漁業者の行動原理を検出する。そしてこれを最先端の漁業者行動モデルに組み込むことで、自主管理下の漁業者の行動原理を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は我が国で行われている自主的漁業管理の効果の把握及びメカニズムの解明である。そのために、北海道沖合底曳網漁業および北部太平洋大中型まき網漁業を対象とし、詳細な操業データをもとに分析を進めている。本年度の最大の実績は北海道沖合底曳網漁業のプール制管理について、Marine Policyという海洋政策のトップジャーナルに論文を出版したことである(Sakai et al. 2022)。本論文はプール制という漁業者の自主的な管理の効果を差分の差分法を用いて明らかにした初めての研究である。従来の研究はプール制の導入前後の比較やプール制を導入している漁業としていない漁業の比較に終始していた。しかし、これらのアプローチでは制度の効果をより正確に把握することは困難である。縦の比較では同じタイミングで起きた資源変動や経済ショックの影響を除去できず、横の比較ではそもそもの漁業特性の違いを除去できないためである。これを踏まえ、本論文は室蘭と渡島の単価(分析1)及び室蘭と他地区の沖底船の生産性(分析2)をプール制導入前後で比較するという差分の差分法を実施した。これにより、プール制の効果が単価及び生産性の2-3割程度の増加であったことが示された。これは自主的漁業管理の効果について信頼性の高いエビデンスを示した数少ない研究であり、大きな意義があると言える。
Sakai, Y., Ishihara, H., & Ishino, M. (2022). Sharing in the commons: Evaluating the pooling system in a Danish seine fishery in Japan. Marine Policy, 139, 105017.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北海道沖合底曳網漁業のプール制管理について、Marine Policyという海洋政策のトップジャーナルに1本の論文を出版した。また、北部太平洋大中型まき網漁業のIQ管理について学会発表を二度行い、投稿準備中である。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、北部太平洋大中型まき網漁業のIQ管理に関する研究を取りまとめ、海洋政策のトップジャーナルであるMarine Policyに投稿する。また平行して、北海道沖合底曳網漁業の現地調査を続け、他の地域における自主的管理の効果を検証するとともに、そのメカニズムの解明を進める。特に本年度は当該漁業の漁場選択モデルの構築を目指す。
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