研究課題/領域番号 |
21K14897
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | リージョナルフィッシュ株式会社(研究開発部) (2022) 東京大学 (2021) |
研究代表者 |
笘野 哲史 リージョナルフィッシュ株式会社(研究開発部), 研究開発部, 研究員 (30866570)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 頭足類 / アオリイカ / 人工授精 / 生殖隔離 / 異種間交配 / 配偶子 / ゲノム / 系統地理 |
研究開始時の研究の概要 |
アオリイカは「イカの王様」の異名をもち,商品価値が極めて高い優良資源である。申請者のこれまでの研究によって,アオリイカ類3種は海域によって各種の割合がことなり,さらに3種が同所的に生息する海域が明らかとなった。しかし,3種間の異種間交配の実態や,それが資源や生態系へ与える質的な影響は未知であるため,まずは実態を把握することが急務といえる。本課題では,アオリイカ類における異種間交配の実態を明らかにするため,雑種個体が占める割合を地理的に比較し,ゲノム情報から遺伝子浸透の歴史を推定する。異種間交配の実態を踏まえた上で,各地で行われている人工的な産卵サポートや資源管理を効率的な方策を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究では,人工授精と飼育実験を用いた異種間交配試験,野外採集卵と成熟メスのDNA解析,3種のゲノム比較を通して,アオリイカ3種間における生殖隔離および遺伝子浸透の強さを明らかにする。その結果に基づき,異種間交配が起こりやすい組み合わせや,既に遺伝子浸透が進んでいる組み合わせを特定することを予定し、さらに,漁獲される3種の割合が海域ごとに異なることを踏まえつつ,人工産卵礁を用いたサポート事業がアオリイカ類の異種間交配に与える影響を評価へとつなげることを最終的な目標としている。初年度の研究計画では,大きく3つの研究小課題へ着手し、次年度である本年度は研究を発展させることを目的とした。それは人工授精試験,行動観察試験,およびゲノム比較解析である。まず人工授精試験の概要としては,アオリイカ類3種の成熟卵と精子を用いて人工受精を行い,異種間の配偶子で受精が起こるかどうか調べた。それに先立ちアオリイカにおける人工授精方法を確立し、6割程度の受精成功度を得ることができた。この結果は既往研究に比較して非常に高い値であり,アオリイカ類の人工授精技術を大きく発展させたといえる。さらにアオリイカ属複数種間での人工授精を試み、授精がおきることを確認した。ゲノム解析については協力者の元、データ取得と解析をすすめている。飼育試験に関しては、報告者が所属機関を変更したため、飼育にかんする体制をととのえることに時間を要した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の概要に記載したが、飼育試験に関してはやや遅れている。その理由としては、申請者が所属機関を変更し、研究支援体制や実験環境が大きく変わったためである。しかしながら、新しい環境でも実験が行いやすい人工授精試験やゲノム解析については、サンプルやデータを積み重ねることができた。また、アオリイカ3種の繁殖形質もデータを収集した。最終年度はこれまでに収集してきたデータをまとめ、公表することにリソースを投じるため、所属機関の変更による遅れは生じないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度の研究推進方法としては、これまでに収集してきたデータをまとめ、足りない部分に関して追加でデータを取得する。そのため、所属機関の変更による研究の遅れは生じにくいと思われる。仮に実験の遅れが生じた場合でも、初年度と次年度に収集したデータをもとに論文としてまとめることが可能である。そして、最終的には、異種間交配が起こりやすい組み合わせや,既に遺伝子浸透が進んでいる組み合わせを特定することを予定し、さらに,漁獲される3種の割合が海域ごとに異なることを踏まえつつ,人工産卵礁を用いたサポート事業がアオリイカ類の異種間交配に与える影響を評価へとつなげる議論を行う予定である。
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