研究課題/領域番号 |
21K14915
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 花奈 (池上花奈) 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (10806615)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 性成熟 / GnRH / 真骨魚類 / 神経内分泌 |
研究開始時の研究の概要 |
水産増養殖において、魚類の性成熟のメカニズム解明は喫緊の課題である。真骨魚類メスでは、体成長と卵成熟の2つの条件が揃って初めて、視床下部の生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンの活性化が生じ、最終的に初回排卵に至るが、GnRH1 ニューロンが初めて高頻度の神経活動を示すようになる分子機構は不明である。本研究では、インスリン様成長因子を介して体成長の情報が、エストロジェンを介して卵成熟の情報が、GnRH1ニューロンに入力するという二つの独立した仮説の検証と機構解明を行う。本研究の完成により、性成熟誘起の新規種苗技術の開発が可能となることが期待される。
|
研究実績の概要 |
①体成長にい伴ってGnRH1ニューロンの神経活動が活発になるメカニズム 当初究課題で着目していたインスリン様成長因子1(igf1)に加え、igf2,igf3および、IGF受容体(igf1ra,igf1rb)の遺伝子発現が各成長段階に応じて変動するかをメダカ全脳サンプルを用いたqPCR法にて検証した。その結果、他の動物種と同様にigf1の発現が成長に応じて顕著に増加することを確認できた。また、成熟メスメダカの各臓器における上記IGF遺伝子とIGF受容体遺伝子の発現量をqPCR法にて定量し、先行研究で報告のあった肝臓での発現に加え、他の臓器でも発現していることがわかった。
②性成熟期のGnRH1ニューロンに対するエストロジェンの作用メカニズム 当初の計画を変更し、エストロジェン受容体をもち、エストロジェンによって神経活動が活発になるという報告のある細胞群に着目し、その細胞群をマイクロレーザーダイセクションによって採取し、RNA抽出したサンプルを用いてRNA-seq解析を実施した。現在、その結果を解析中である。また、メダカで発現が確認されている3種類のエストロジェン受容体のうち2種類がノックアウトされたメダカの作出を試み、現在データ解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エストロジェンの脳内作用機序解明に向けた研究では、レーザーマイクロダイセクションによる目的の脳領域の採取に手間取ったものの、RNAseq解析まで順調に進んでいる。 成長因子の脳内作用機序に向けた研究では、現在、遺伝子の発現量解析の結果の取得にとどまっているが、次の実験に向けた準備も進められているため、やや遅れているものの、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
RNAseq解析の結果、GnRH1ニューロンに発現している受容体および、GnRH1ニューロンに直接作用する可能性のある神経伝達物質・神経ペプチドの候補を挙げ、組織学的解析により、候補の絞り込みを行う計画である。これらの候補が性成熟前後で発現量が変動するかどうかも検証する。 また、GnRH1ニューロンの神経活動が活発になっていない幼魚期や、体成長しているものの性成熟を迎えないFSHノックアウトメダカを用い、GnRH1ニューロンの神経活動に対するエストロジェンの作用を検証する予定である。
|