研究課題/領域番号 |
21K14919
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
三品 達平 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (40830162)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | フナ / クローン繁殖 / 遺伝基盤 / 減数分裂 / 受精卵 / 卵母細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
クローン繁殖をする生物の作出は、同一の遺伝背景を持つ生物の迅速な確立や、雑種強勢により生じた有用形質の固定を可能にし、生命科学や農林水産分野での応用が期待される。本研究では、クローン繁殖の責任候補遺伝子が絞り込まれているコイ科フナ属魚類をモデルとして、減数分裂における染色体分配の制御機構および、受精後の核構造の制御機構の理解、その応用によるクローン繁殖動物の作出を目指す。そのために、まず、同定した責任遺伝子および変異が減数分裂過程および受精後の核構造制御で果たす機能を解明する。さらに、同定した変異を人為的にゼブラフィッシュに導入することで、クローン繁殖する系統を作出する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、クローン繁殖の責任候補遺伝子が絞り込まれているコイ科フナ属魚類をモデルとして、減数分裂における染色体分配の制御機構および、受精後の核構造の制御機構の理解、その応用によるクローン繁殖動物の作出を目指すことである。二年目である2022年度は、主に(1)クローン繁殖をするフナ類のゲノム組成の解明(2)進化ゲノム解析によって同定されたクローン繁殖の責任候補遺伝子(変異)による表現型の再現実験 を実施した。 (1)クローン繁殖をするフナのゲノム組成の詳細について全ゲノム解読データを用いて解析した。その結果、有性生殖をするフナからの遺伝子浸透によってゲノムが組換えを伴いながらダイナミックに置き換わってきたことが示された。また、同定された責任候補遺伝子の多くでコピー数の増加が示唆された。 (2)進化ゲノム解析によって同定されたクローン繁殖の責任候補遺伝子(変異)のうち、組換えの欠如に関与すると考えられる候補遺伝子を欠損させたゼブラフィッシュにおいて、クローン繁殖をするフナと同様の形質が見られるかを検討した。その結果、候補遺伝子を欠損したゼブラフィッシュでは組換えの欠失が認められるものの卵母細胞は成熟し、部分的に表現型を再現できた。しかしながら、極体放出が起こるなどフナの表現型とは異なる部分が認められるため、複数の分子機構について同時に遺伝子操作をする実験を進めている。 また、本研究課題の関連研究である、クローン繁殖をするフナがキンギョと交雑することで緋色のクローン繁殖をするフナが生じることを報告する論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度の第一極体放出の抑制に加え、2022年度は組換えの欠如についても候補遺伝子の遺伝子操作実験によってフナ属魚類でみられるクローン繁殖の表現型をゼブラフィッシュにおいて部分的に再現することに成功した。また、クローン繁殖をするフナのゲノム組成の詳細が明らかになり、組換えを伴う遺伝子浸透パターンが可視化されたことで、その進化史が鮮明になった。 これらの進展に加え、クローン繁殖をするフナがキンギョと交雑することで緋色のクローン繁殖をするフナが生じることを報告する論文を出版できた。以上のように、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究結果によって、フナ類におけるクローン繁殖の分子基盤は、複数の細胞学的パスウェイの変化が同時に起こることが重要であると示唆された。そこで、分子基盤に関する証拠をより強固なものとするために(1)ゼブラフィッシュを対象に複数パスウェイの遺伝子操作実験を同時に遂行する。また、(2)クローン繁殖をするフナにおいて責任候補変異をもつアリルをノックダウンした際に有性型の形質に戻るかを調べる。また、これまで成果をまとめて論文としてまとめる。
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