研究課題/領域番号 |
21K14925
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
李 冠軍 神戸大学, 農学研究科, 学術研究員 (10896963)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 大豆生産者補助政策 / 全要素生産性(TFP) / 選択型コンジョイント分析 / 中国農業 / 補助金 / 耕種農業 / 農業保護政策 / 農業政策の変遷 / 生産関数 / 要因分解 / 農業政策 / 中国 / 農業保護 / 農家経済 / 政策変遷 |
研究開始時の研究の概要 |
2004年以降中国は農業を搾取から保護の対象に転換し、一連の農業保護政策を実施した。しかし、保護の程度が年々強められていった結果、財政負担の増大、農産物の国際競争力喪失、農業経営の不効率性等の問題が深刻化した。そのため、これまでの農業保護政策は2016年に大幅な見直しが行われ、新たな農業政策が開始されることとなった。 本研究は中国の農業政策の変遷を明らかにするとともに、農業政策の根拠に関する経済理論を明示する。その上で、新たな農業政策が農家経済に及ぼす影響を定量的に実証分析する。さらに、新たな農業政策の問題点を析出し、計量経済学的手法による政策シナリオを行い、中国農業の保護の在り方を検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度では大豆生産者補助政策に着目して分析し、以下の2点を行った。 1点目は、Multilateral生産性指数を用い、地域別大豆作の全要素生産性(TFP)を計測した上で、農業政策がTFPに与えた影響を分析したことである。その際、①政策の対象地域、②政策の非対象地域の2区分より大豆TFPを把握した。 その結果、以下の2点が明らかとなった。第1に、2004年から2020年まで大豆TFPは向上する傾向にあるものの、大豆増産には生産要素の寄与率が顕著に高かった。これは、大豆生産者補助政策を実施することで、農家の生産意欲を高め、生産要素の投入に高い伸びがあったためであると考えられる。第2に、2017年以降大豆作のTFPは上昇したと示されているが、政策の対象地域と非対象地域の間で違いは認められなかった。これは補助金のもと、大豆生産農家が優良品種や農業機械の使用の増加まで至っていない可能性がある。すなわち、BC技術(生物化学的技術)とM技術(機械的技術)は改善できず、大豆生産者補助政策の実施がTFPの向上に繋がらなかった。
2点目は、中国黒竜江省における土地持ち農家及び借地農家を対象とし、大豆を導入・拡大する際に補助金などの属性がどのように評価されるかを、アンケート調査で得られたデータを用いて分析したことである。 その結果、土地持ち農家及び借地農家はどちらも大豆価格と補助金に対して正に有意な選好を示した。2017年以降、大豆生産者補助政策の実施により、大豆生産の振興が図られている。ただし、今回の発生確率のシミュレーションの中では、大豆価格が高い水準である場合、補助金が大豆導入・拡大行動に与える影響は弱いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度目標としていた①データベース、②政策シナリオの作成などについて、すでに実施したため、目標に到達したといえる。更に、2023年度目標である③実証分析についても実施し、その研究成果を学会発表した。 例えば、③実証分析において,大豆生産の導入・拡大意向を有する農家に関して、大豆補助金や大豆価格の違いにより導入・拡大行動を起こす農家の発生確率にどの程度の差が表れるのかを、シミュレーションにより解明した。
以上の事由により、「当初の計画以上に進展している」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画が順調に進展しているので、以下の通り今後の研究を推進していく。 ①2023年度上期に論文投稿のため具体的な作業を行う。 ②2023年度下期にこれまでの研究成果を取りまとめ、研究成果報告書を作成する。
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