研究課題/領域番号 |
21K14937
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中本 英里 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (20824303)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ユニバーサルデザイン / 農福連携 / 障害者の就労環境整備 / ユニバーサル農業 / 障がい者雇用 / 農作業環境整備 / 作業工程細分化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、障がい者の就農現場におけるユニバーサルデザイン(UD)化の効果を解明するとともに、その効果的な方法を提示する。方法として、(1)農福連携事例におけるUD化の取組実態とその成果をアンケート調査および事例分析により明らかにする。(2)人間工学分野で開発されている「UDの開発実践プロセス」を参考に、障がい者に配慮すべき取組事項を一覧できる「UDマトリックス」を作成する。調査対象には、農福連携に取組む支援者のみならず、農作業等に従事する障がい者も含めることとし、障がい者の主観的評価を踏まえた上でUD化の効果を検証する。最後に、(3)農福連携の取組における効果的なUDの方法を提示する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、既存研究では十分に検証されていない、農福連携事例における就労環境整備に焦点を置き、障がい者の就農現場におけるユニバーサルデザイン化の効果とその有効な取組方法を解明することを目的とする。方法として、農福連携事例におけるユニバーサルデザイン化の取組実態やその成果を、アンケート調査および事例分析により明らかにする。 2022年度は昨年度に引き続き、文献調査によりユニバーサルデザイン化の効果と課題に関する仮説的整理を行うとともに、アンケート調査の設問について検討した。具体的には、まず、デザイン工学の分野を参考に「ユニバーサル」の概念整理を行った。「ユニバーサル」は「バリアフリー」の概念との対比から、「使える(社会に関わる)」ことを当然のこととし、「特別な人のため」の「特別なやり方」ではなく、「すべての人」の「普遍的な」安全、安心、快適を目指すものと整理されている。この点を踏まえ、農福連携の取組は、農園芸活動あるいは農園という環境そのものに「包摂」の要素が含まれることから「多様な参加者」の健康で豊かな生活を実現させる効果があると考えた。しかし、農業の視点から「ユニバーサル」の概念に照らし合わせ、農福連携の取組を捉えた場合、営農における農作業事故等の実態に鑑み、いくつかの課題が把握された。その対応策として、農園参加者の個々の特性を理解すること(人的な配慮)、農場内の整理整頓、資材や農具の適性管理・点検が重要であることが挙げられた。また、植物を扱う農園の環境、参加者、参加者間の関係性等々は日々変化し、成長や後退の過程が必ずある。そうした変化への理解や、変化に応じた環境整備は、「ユニバーサル農園」の開設に向けた対応策を検討する上で、重要な視点になると考えられた。 研究成果の一部は、農福連携関連セミナー、学会、シンポジウムでの発表および関連雑誌への掲載を通じて情報発信した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は主に、昨年度に引き続き、既存資料(農福連携事例集、就労支援マニュアル等)および、現地訪問によるヒアリング調査(補足調査)の結果をもとに、農業分野で就労する障がい者の特性や、従事している農作業工程、作業遂行における課題等を把握した。また、ユニバーサルデザインに関する概念整理を行った。しかし、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症予防対策により出張が一部制限されたため、現地調査が充分遂行できず、アンケート調査票の作成は設問の検討にとどまった。
|
今後の研究の推進方策 |
アンケート調査票を完成させるとともに、調査を実施し、農福連携の取組におけるユニバーサルデザイン化の全体状況を把握する。アンケート調査の対象は、障がい者の就労を支援する事業所や団体等(農業以外も含む)とし、農業分野におけるUD化の特性(取組内容,UD化の効果,UD化の課題)を抽出する。 補足調査として予定していた現地訪問によるヒアリング調査を完遂させる予定であるが、必要に応じてメールやWeb会議システム等を利用する等の柔軟な対応にも努める。
|