研究課題/領域番号 |
21K14939
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
杉本 卓也 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70899509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | コロイド / 沈着 / 輸送現象 / 流動現象 / 界面電気現象 / 凝集 / 界面動電現象 / 目詰まり |
研究開始時の研究の概要 |
土壌の透水性の低下は,微細なコロイド画分の剥離や移動と,それらの間隙内への集積による目詰まりに支配される.従来のカラム輸送実験では,間隙スケールでの土壌マトリクスへのコロイドの集積に伴う目詰まりや,目詰まり層からの剥離や再浮遊による破壊現象のダイナミクスを評価することは難しい. 本研究では,微細な間隙構造を有するマイクロ流路中の顕微鏡観察に基づいて目詰まり・破壊現象の評価系を構築する.間隙内の流動条件やコロイドの帯電・凝集特性に関する情報をレファレンスとしながら,目詰まりの形成-成長-破壊過程の支配因子を探索する.
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研究実績の概要 |
本研究では,マイクロ流路を活用した目詰まりの形成-破壊過程の評価系の構築し,コロイドの帯電・凝集特性評価を相補的に用いながら,目詰まりを引き起こす沈着複合体の形成-破壊およびその物理性の制御機構の解明を目的とする.採択次年度である当該年度は,マイクロ流路を用いた実験系のデータ取得,および基礎情報となる凝集に関する実験データの解析および目詰まりと本質的に類似した実験系である濃厚なコロイド懸濁液に関するシミュレーションを用いた解析を行った.当該年度の研究成果は,以下の通りである. 前年度作製した微細な流路内に円柱を配置したマイクロ流路を使い,沈着複合体の付着形成および破壊に関する直接観察測定を引き続き進めており,データを蓄積しつつある. 平行して,沈着を予測するための基礎情報として,前年度から取り組んでいた共同研究者とともに流れ場中の凝集への多価イオンの影響について,実験とその理論解析の成果を国際誌に投稿し,受理された.この成果では,流れのある場合と流れのない場合の凝集速度の実測値の双方について,凝集速度を半定量的に予測可能であることを示した.この内容についても,より定量的に評価可能な流れ場中での実験系やより進んだ理論モデルでの解析を進める予定である. 加えて,共同研究者とともに濃厚なコロイド懸濁液の非ニュートン流動特性に粒子の電気的斥力が与える影響について,流体相互作用と離散要素法を組み合わせたシミュレーションによる解析をおこなった.塩濃度の増加にともない電気的斥力が弱くなるにつれて,低せん断領域における粘度が減少すること,濃厚系において特徴的なせん断速度の増加にともなう粘度上昇(シェアシックニング)が開始する臨界せん断応力が小さくなるという挙動が再現できた.今後は,共同研究者と共著で積極的に学会発表をおこない,内容の深化に努める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究計画申請時から,現在の所属に異動したため,当初の予定と異なる点はあるものの研究計画実施に必要な実験系の設定および構築と実験の実施に取り組めている.着実にデータの蓄積を進められているだけでなく,関連する沈着,凝集,濃厚系懸濁液のシミュレーションの解析も進められていることから,研究課題の遂行は順調に進んでいると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
現在進めているマイクロ流路の実験に集中的にエフォートを割き,より迅速なデータの蓄積を進める.得られた結果の解釈について,理論的な解釈が可能か検討を進める. 既にある程度まとまった成果が得られつつある沈着のシミュレーション,濃厚系懸濁液のシミュの解析について,研究成果を国際誌に投稿できるように解析および共同研究者との議論を加速させる.
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