研究課題/領域番号 |
21K14947
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野下 浩司 九州大学, 理学研究院, 助教 (10758494)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 形態測定学 / 植物フェノタイピング / 機械学習 / 画像解析 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
表現型の総体であるフェノームのデータ蓄積は,それを適切に表現する数理モデルの欠如や未だ労働集約的な定量化手法のため進んでいない.結果,その予測・制御への活用も限定的である.特に,植物の3次元形態のフェノームデータはゲノムワイド関連解析や効率的な育種の実現などに重要であり,解析のための理論・技術的基盤が求められている.本研究では個別構成要素のフェノタイピングの高速化,階層性をつなぐフェノタイピングを実現する数理モデルの開発を通し,植物3次元形態を適切に定量化する数理モデルとデータ取得の基盤を提供し, 植物3次元形態のフェノーム解析を高効率に可能にする基盤理論・技術の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は,植物形態のフェノーム解析に向けて,特に,個別要素の形状や形態のフェノタイピング技術の高度化とそれらが組合わさった複雑な表現型を定量化するための解析手法の適用可能性の検証に取り組んだ. 具体的には,3次元空間中における葉の輪郭形状を2次元的-3次元の情報を統合することで推定する手法の開発,葉脈のネットワーク構造のグラフとしての表現とネットワークベース特徴量による定量化を用いた形態空間解析,に取り組んだ.植物多視点画像データセットとそのアノテーションデータを活用し,深層学習に基づくインスタンスセグメンテーションによる2次元画像中の小葉の認識,SfM及びMVSによるカラメラパラメータの推定と3次元再構築,3次元インスタンスセグメンテーションと2次元画像中のインスタンスの対応付け, 輪郭形状推定を実装し,仮想データによる提案手法の精度検証と実データへ適用する上でのガイドラインの提案をおこなった.これにより従来の2次元的な投影や計測に基づく定量化や,3次元であっても輪郭の認識が難しいケースでは得ることができない3次元輪郭形状を直接的に推定することが可能となった.また,複雑な繰り返し構造である葉脈をグラフとして表現するための画像解析手法を提案し,染色画像と非処理画像の両方で構造抽出をおこなった.さらに,得られたグラフからネットワーク特徴量による定量化をおこない,形態空間上でその分布パターンを検証することで,葉脈構造に特異的な制約をデータドリブンに見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
個別要素の形状とその集合としての多階層構造の定量化をシミュレーションと実データ,あるいは詳細だが時間を要する前処理・計測と精度は低いが簡便でスループットの高い前処理・計測といった理想的な定量化シナリオと現実的なソリューションの両方へ提案手法を拡張することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,個別要素の定量化手法の効率化と階層性をつなぐフェノタイピングを実現するための数理モデルの開発を進める.一方で,開発しているフェノ タイピング理論や技術は,当初の予定よりも広範な対象に適用できる可能性が高いことが明らかとなった.そのため,対象となる理論や技術のより一層の一般化を目指す.
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