研究課題/領域番号 |
21K14950
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
木村 建介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (10885502)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 光合成能力 / 環境馴化 / 老化 / 最適化モデル / 高速推定 / 寿命 / 分光反射透過計測 |
研究開始時の研究の概要 |
葉の寿命に対する最適化仮説と,葉の環境に対する最適化仮説を統合し,新たな光合成能力のモデルを構築する.これにより,これまで分けて考えられてきた要素(葉の寿命と環境への馴化)を同一の体系の中で見ることを可能とし,光合成能力の変動に関する新たな知見を得ることが可能と考えられる.また,モデルの妥当性検証のための光合成能力の実測においては,従来法である光合成測定装置を用いた手法に加え,葉の分光反射率および分光透過率を用いた推定を試みる.これにより,従来法では1枚の葉で30分程度の時間を要していた光合成能力の同定が,わずか数秒で完了する可能性がある.
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研究実績の概要 |
葉の寿命と環境への馴化を考慮した,より合理的な光合成能力のモデルを構築するために,本年度は以下の項目を実施した. ・昨年度と同様に,光合成能力のモデルを構築するために,実際の作物圃場において光合成能力の同定を行った.具体的には,光合成測定装置を用いて,1日3枚の葉,3つの温度条件において光合成能力を同定した.同定は,約10日毎に行った.1年を通して効率よく光合成能力のデータを得るために,栽培時期の重複が少ないダイズとコムギを供試作物はとして採用した. ・光合成測定装置を用いる手法は現在最も一般的であり,正確に光合成能力を同定することが可能であるが,同定に相当な時間(1枚の葉に1時間弱)を要する.そのため,本課題では,葉の分光分布から光合成能力を同定する手法を検討する.この手法は,葉の分光反射率を測定し,機械学習によって光合成能力を推定するものである.この手法が可能となれば,測定は数十秒で完了し,より大量のデータを得ることができる.昨年度取得したデータと部分的最小二乗回帰により,葉の分光反射率から光合成能力を推定するモデルを構築した.結果としては,決定係数が0.6程度であり,光合成能力の馴化を評価する上で十分とは言えない結果となった.そのため,下記に示すような代替法を考案し,光合成能力の高速推定を可能にした. ・葉のクロロフィル蛍光と葉の熱収支解析を用いて光合成速度を推定する手法を考案した.そこから得られた光合成速度から光合成能力を逆算することが可能である.これにより,新たな光合成能力の高速推定法を構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
葉の分光反射率から光合成能力を推定する手法が十分な精度とならず不発に終わってしまったが,葉の光合成速度を高速推定し,そこから光合成能力を逆算する手法により,十分な光合成能力のデータを取得することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に考案した手法で,光合成能力の高速推定を実施しつつ,2年間で取得したデータを用いて,新たな最適化モデルの構築を試みる.そのために,まずは既存の最適化モデルの検証を行い,既存のモデルでは説明できない部分を評価する予定である.
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