研究課題/領域番号 |
21K14955
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
野村 康之 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70847722)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 集団クローン構造 / 集団遺伝構造 / 雑種形成 / 結実率 / チガヤ / ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
雑種形成は種の多様化において重要な役割を担ってきたが、その役割の中心は表現型や遺伝子型の多様性の増加だと考えられている。その一方で、多様性の低い雑種集団は進化史上消滅することが多いと考えられているため、多様性の低い雑種が広く蔓延しているという事実は注目されてこなかった。本研究では、日本において独立に複数回、遺伝的多様性の低い雑種集団が生じているチガヤに着目して、研究を行う。雑種の両親にあたる2生態型の日本各地の遺伝的分化を調査したのち、日本各地の雑種集団内の遺伝的多様性を調査する。この研究を通して、普遍的に遺伝的多様性の低い雑種集団が蔓延しえることを示し、その進化的影響について明らかにする。
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研究成果の概要 |
チガヤは根茎による栄養繁殖を行う多年草であり、世界的に有害な雑草である。日本には本種の生態の異なる2型(生態型)とそれらの雑種が生育している。生育地において両親の2生態型は結実率が高いが、それらの雑種の結実率は低い。チガヤが自分の花粉では結実できない性質(自家不和合性)を有することから、本研究では雑種の結実率が低い原因は雑種集団ではクローン多様性が低いためであると考えて、調査を行った。その結果、雑種集団は2生態型の集団よりもクローン多様性が低く、これが雑種集団での結実率が低い原因の1つであると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で、チガヤの2生態型間の雑種が生育地において集団内のクローン多様性が低いことが明らかになった。この結果は、雑種の結実率が低い結果とも整合する。雑種は両親とは異なり、主に栄養繁殖で増殖し、クローン多様度の低い集団を形成していると考えられる。これは、雑種が野外環境において単一のクローンで蔓延しやすいことを示しているのかもしれない。チガヤは日本において緑化資材として利用される植物でもあるため、生態と遺伝的多様性の解明は、今後の本種の生態系への負荷の少ない利用において基盤となる情報を提供するものである。
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