研究課題/領域番号 |
21K14967
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小林 寿美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (80609701)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | サイレージ / Clostridium / 家畜飼料 / Clostridium属細菌 / 飼料 / 発酵 / 嫌気微生物 / 飼料調製 / 畜産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、家畜の飼料であるサイレージの低質化メカニズムを解明する。 牧草などの飼料作物は保存性向上のためにサイレージに調製されるが、しばしば調製・貯蔵中にClostridium属細菌等が増殖することで、悪臭を伴い、栄養価の低いサイレージとなる。微生物の増殖は周辺環境(pHや栄養源として利用できる物質等)に影響を受けることから、サイレージ材料となる飼料作物種、材料に付着している微生物叢等により、低質化の原因菌種は異なると推定される。そこで本研究では、サイレージ中の微生物の多様性、サイレージの品質に関与するClostridium属細菌を特定することで、良質なサイレージ調製技術の確立に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、家畜発酵飼料であるサイレージの発酵過程における微生物の変遷とClostridium属細菌の多様性の解明、サイレージの低質化に関与するClostridium属細菌を特定することを目的としている。 本年度は前年度に引き続き、サイレージ発酵過程における微生物の変遷を検討するため、高水分の寒地型イネ科牧草を小規模発酵試験法によりサイレージを調製し、室温で貯蔵後、経時的にサイレージ発酵品質ならびに微生物叢を分析した。また、サイレージ中のClostridium属細菌の多様性を明らかにし、サイレージ低質化に関与する微生物を特定するため、上記の寒地型イネ科牧草などのサイレージ原料やサイレージから嫌気性および通性嫌気性芽胞形成細菌を分離し、純粋培養後に凍結保存した。分離した微生物は、有機酸生成や生育環境条件、資化性などの生理・生化学的試験を行い、その結果からサイレージの低質化に関与する可能性が高い微生物菌株を選定した。 また、昨年度の成果である新規微生物として公表したClostridium zeae CSC2T株(トウモロコシサイレージから分離)の生理・生化学的性質について分析し、サイレージ発酵品質への影響について検討をおこなった。 さらに、Clostridium zeae CSC2T株と16S rRNA解析により近縁であると確認された2菌株について生理・生化学的性質や形態を比較検討し、ゲノム解析を行った結果、新規微生物であることが明らかとなった。この2菌株はClostridium folliculivoransとして公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、寒地型イネ科牧草等から分離した菌株の生理・生化学的性質および16S rRNA解析を行い、サイレージ品質に関わる微生物の探索を行うことで、サイレージ低質化に関与する微生物の候補菌株を挙げることが出来た。さらに、Clostridium属細菌の新規微生物を公表することが出来た。 上記の理由により、本研究はおおむね順調に遂行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究によりサイレージの低質化に関与する微生物の候補菌株が選定されたため、今後は候補菌株の種同定を行うとともに、寒地型イネ科牧草への接種による低質サイレージ発酵を再現する実証試験を行う予定である。また、分離した微生物の中には、その生理・生化学的性質と分子生物学的解析から新規微生物であると考えられるものが含まれていた。サイレージの微生物多様性を明らかにするため、新規微生物の生理・生化学的性質を分析し、サイレージ発酵との関連性について検討を行う。
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