研究課題/領域番号 |
21K14974
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
金城 綾二 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 特任助教 (00827941)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ネコ / iPS細胞 / bFGF / LIF / 培養条件 / 再生医療 / 2型糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では ①腫瘍化の危険性の低いネコiPS細胞をより効率的に作製・培養する方法を確立する。作製したネコiPS細胞は遺伝子検査などを行い、iPS細胞としての特性を有するかを明らかにする。 ②作製したネコiPS細胞をインスリン産生細胞へ分化誘導を試みる。また、実際に糖に対して反応するかを培養液中で評価する。 ③分化誘導して得たインスリン産生細胞を移植する部位の検討、および移植後長期にわたる機能評価を行う。また、実際に糖に対して反応するかを生体中で評価する。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまでの研究において、ヒトやイヌにおけるiPS細胞の培養条件を参考とし、ネコiPS細胞の作製時に様々な培地、添加因子、細胞外基質を組み合わせ、ネコiPS細胞の作製を試みた。その結果、高い分化能と増殖能を有するネコiPS細胞が作製可能な培養条件を明らかにした。本手法で作製したネコiPS細胞は未分化マーカー(OCT, NANOGなど)を発現し、継続的な培養を行うことが可能であった。さらにin vitroで様々な細胞に分化することが可能であった。 一方、本細胞の作製時には他種の細胞と共培養する手法(共培養系)を採用している。共培養系はiPS細胞の培養・維持に必要な様々な成長因子や細胞外基質の分泌、細胞間接着シグナルの発生などの多くの利点があり、iPS細胞の培養時に多く使用されてきた。一方、iPS細胞の分化誘導を行う際には、細胞分化には不要な成長因子や細胞外基質の分泌、細胞間接着シグナルの発生が生じてしまう。その結果、不十分な分化誘導や意図しない細胞種への分化誘導が生じるなどの欠点が考えられる。そこで、本年度は他種の細胞との共培養を必要としない、ネコiPS細胞の培養条件について検討を行った。その結果、培地や添加因子に改良を加えることにより、共培養系で作製したネコiPS細胞であっても、ネコiPS単独での維持が可能な培養条件を導き出すことに成功した。今後、本培養条件を活用することにより、不確定な要素を除外した条件下において、ネコiPS細胞の膵島細胞への分化誘導について検討することが可能となったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定に加え、共培養系に依存しないネコiPS細胞の培養条件の検討を行ったため、進捗状況はやや遅れていると評価する。一方、追加研究においては、培地に改良を加えることにより、共培養系に依存しないネコiPS細胞の培養条件を明らかにすることができた。本研究は以後の分化誘導研究において、不確定・不明瞭な要因を削減することに寄与するものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
ネコiPS細胞の膵島への分化誘導・膵島の機能解析 これまでに作製したネコiPS細胞は高い増殖能と分化能を有しており、様々な細胞種への分化誘導研究に適した特性を有している。また、他の細胞種との共培養を必要としない培養条件の確立を行ったことにより、特定の細胞への分化誘導時の条件検討を行いやすくなったと考える。 本培養条件下で作製したネコiPS細胞を使用し、膵島への分化誘導について検討を行う。初期内胚葉の分化には、複数の成長因子を培養液に添加し、ネコiPS細胞を効率的に機能性の膵島に分化誘導できる各成長因子の濃度を明らかにする。膵島への分化は膵島の分化マーカー(PDX1, PAX6など)の発現、機能性タンパク質(insulin, glucagonなど)の合成などに基づいて評価する。
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