研究課題/領域番号 |
21K14990
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
三浦 亮太朗 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (60782133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 牛 / 子宮修復 / 単核球 / 繁殖成績 / 子宮 / 修復 / 免疫 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
ウシの子宮修復の評価では、ある一時点での子宮内膜への多形核白血球浸潤が指標とされてきた。申請者は、子宮修復過程における子宮内膜を経時的に観察したところ、多形核白血球の浸潤が終息した直後に単核球が一時的に増加することを世界で初めて明らかにした。これは、牛の分娩後の子宮修復において単核球が重要な役割を果たす可能性が示されたと共に、受胎に向けた子宮修復完了の指標および子宮内膜炎発症の原因および予防の解明につながる可能性が存在することを示唆している。本研究の目的は、分娩後の子宮修復に関わる単核球の関わりを細胞学的および分子生物学的な手法を用いて解明することである。
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研究実績の概要 |
ウシの分娩後の子宮修復の詳細な過程は未だ十分に解明されていない。これまでの子宮修復の評価では、一時点での子宮内膜への多形核白血球浸潤が指標とされてきた。申請者は、子宮修復過程における子宮内膜を経時的に観察したところ、多形核白血球の浸潤が終息した直後に単核球が一時的に増加することを明らかにした。申請者が発見したこの事実は、牛の分娩後の子宮修復において単核球が重要な役割を果たす可能性が示されたと共に、受胎に向けた子宮修復完了の指標および子宮内膜炎発症の原因および予防の解明につながる可能性が存在することを示唆している。本研究の目的は、分娩後の子宮修復に関わる単核球の関わりを細胞学的および分子生物学的な手法を用いて解明することである。これまでの2年間で子宮内膜の修復のタイミングでTリンパ球の中でもCD4陽性Tリンパ球であることが示し、またTリンパ球この出現時期を分娩後の5週以内と6週以降で群分けしたところ、6週以降の牛で繁殖成績が低下したことを示した。令和5年度における研究では、この繁殖成績をより多数の牛を用いて評価し、繁殖性にどの程度影響を与えるのかを評価した。110頭のホルスタイン種泌乳牛において、分娩後2~8週の子宮内膜スメアをサイトブラシにより採取し、子宮内膜でのTリンパ球の出現週を評価し、5週以内にTリンパ球が確認されたグループ(早期群:n=55)と6週以降にTリンパ球が確認されたグループ(遅延群:n=55)に分類し、その後の繁殖成績を評価した。初回授精受胎率は、早期群39.2%、遅延群29.8%であった。また平均空胎日数は、早期群140日、遅延群165日であった。加えて、3回の授精で受胎しなかったリピートブリーダー牛の割合は早期群19.6%、遅延群50.9%であった。このことから、Tリンパ球の出現時期は、分娩後の長期にわたりその後の繁殖成績に影響を及ぼすことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた申請内容は令和5年度までに子宮内膜で出現する単核球の種類を明らかにすることと、さらにこの単核球の出現時期によりその後の繁殖成績に影響が認められるのかを評価するまでとしていたが、今年度までに繁殖成績を評価するところまで至り、そしてその影響が長期間にわたり関与することが結果としてでたことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のその後の進展として、子宮内膜に一時的に出現する単核球が子宮の修復に対してどのような役割を演じているのかまで明らかにできていないこと、また単核球の出現時期がなぜその後長期にわたり繁殖成績に影響を与えるのか明らかにできなかったことから、単核球の機能解析を行うことを考えている。さらに、この単核球の出現を支配している上位の免疫細胞の特定、さらには単核球の出現により子宮内膜上皮細胞の機能にどのような影響を与えるのかを評価することが次の研究の展開と考えている。これらを明らかにすることで、分娩後の牛の子宮修復のメカニズムが明らかになるとともに、早期での人為的な介入により牛の繁殖性を向上させる手法の開発につながる臨床研究に発展させることができると考えている。
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