研究課題/領域番号 |
21K14993
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
三河 翔馬 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (20845664)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | セロトニン / 腎線維化 / 血小板 / セロトニン受容体 / 水腎症 / 線維化 / 尿細管修復 / ドラッグリポジショニング |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓の線維化はCKDが進行する際に見られる共通の組織変化で、いまだ有効な治療法のないCKDの治療標的として様々な研究が行われている。一方で、腎臓の線維化が尿細管修復に関与しているという新しい報告もあり、CKDの全貌を知るには、不明な点が多い腎線維化のメカニズムの解明が不可欠である。申請者は現在、5-HTが腎臓での炎症の調節を行っている可能性を見出している。そこで本研究では、「5-HTが腎臓において炎症細胞や腎間質細胞に働き、炎症や線維化を調節し、腎線維化さらには尿細管修復に関与しているのではないか」という仮説を検証し、CKDの新たな治療法開発の可能性へとつながる研究として進めていく。
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研究実績の概要 |
本研究では、セロトニン(5-HT)が腎臓において炎症細胞や腎間質細胞に働き、炎症や線維化を調節し、腎線維化さらには尿細管修復に関与しているのではないかという仮説の基、CKDの新たな治療法開発の可能性へとつながる研究として進めている。 昨年までの結果として、腎線維化モデルである片側尿管結紮モデル(UUOデモル)では、Sham群に比較して血中5-HT濃度が上昇する傾向があった。また血小板から5-HT放出が生じないFH/Hamラットでは、Wistarラットに比較して、UUOモデル作製1週間後の炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF-α)のmRNA発現が少なかった一方で、線維化の指標であるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)やコラーゲン(COL1A1)のmRNA発現に、FH/HamラットとWistarラットで差は認められなかった。 これらの結果より、5-HTのターゲットが炎症細胞である可能性を考え、今年度は腎臓のマクロファージに発現している5-HT受容体について解析を行った。Wistarラットの腎臓をコラゲナーゼ処理し、抗CD45抗体で標識し、FACSを用いてCD45陽性細胞を分取した。分取した細胞からmRNAを抽出し、各5-HT受容体サブタイプのプライマーを用い、5-HT受容体発現を解析したところ、5-HT1A受容体および5-HT1F受容体の発現が認められた。このことから、5-HTが腎臓のマクロファージに発現する5-HT1A受容体および5-HT1F受容体を介してTNF-αの産生に関与し、炎症の調節に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FH/Hamラットのコマーシャルラボでの生産が終了してしまい、現在自家繁殖にて供給を行っているが、順調に繁殖が行えている。 FACSを用いた解析も進み、14種類の5-HT受容体サブタイプについても評価が行えている。 片側尿管結紮後再疎通モデル(R-UUOモデル)の再疎通が安定して再現できていないため、まだ結果が得られていないが、今年度はこのモデルで解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
現在、マクロファージに発現する5-HT受容体が炎症調整に関与している可能性を明らかにしている。一方で、UUOモデルでは5-HTの有無が、線維化マーカーの発現に関与しなかったが、これはUUOモデルが不可逆的な急性モデルのためとも考えられる。緩徐に進行するようなモデルであれば、炎症を介した線維化シグナルに5-HTが関与する可能性が考えられる。可逆的なモデルとして、片側尿管結紮後再疎通モデル(R-UUOモデル)での比較検討も並行して進めて行く。
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