研究課題/領域番号 |
21K15001
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
梶 典幸 麻布大学, 獣医学部, 講師 (20779318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | カハール介在細胞 / 腸内細菌 / 消化管運動 / カハール間質細胞 / 消化管 / セロトニン |
研究開始時の研究の概要 |
カハール介在細胞(ICC)は消化管運動のペースメーカー細胞であり、正常な消化管運動の発現に必須である。近年、腸内細菌叢が宿主に及ぼす様々な影響が報告されているが、ICCと腸内細菌叢の相互作用については分かっていない。そこで本研究は①腸内細菌がICCの機能や形態に及ぼす影響、②ICCが腸内細菌叢に及ぼす影響および③病態における腸内細菌叢の変化がICCに及ぼす影響とその分子機序を明らかにすることでICC-腸内細菌叢間クロストークの解明を行う。これらを解明することでICC機能障害に対する治療法の提供やICC機能の調節を介した腸内細菌叢の正常化やプロバイオティクスを効率化する方法を提供したい。
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研究実績の概要 |
本研究は腸内細菌と消化管運動ペースメーカー細胞(ICC)のクロストークを明らかにすることを目的としている。 本年度は抗生物質により腸内細菌を除去したマウスおいて見られたICCの減少が無菌動物においても発生しているか確認をした。その結果、無菌動物においても同様にICCネットワークの減少が認められた。この結果はICCの減少が抗生物質によるものでなく、腸内細菌除去によるものであることを示唆する。また、抗生物質を投与したマウスの小腸遠位部において平滑筋細胞マーカーの発現をリアルタイムPCRで検討したところ、複数のマーカー遺伝子の発現増加が認められた。一方、α-smooth muscle actinのタンパク質発現はむしろ減少していた。これらの結果から、前年度の仮説とは異なり、腸内細菌の除去がICCのみならず、平滑筋細胞の分化も抑制している可能性が考えられた。その他、これまでに得られていた結果の再現性確認と追試験を実施した。 ICC機能障害が腸内細菌に及ぼす影響を検討する上で、ANO1阻害薬を投与したマウスを用いる計画であったが、体内における薬理作用の維持時間や長期投与による毒性など不確定な要素が多いため、より確実にICC機能が障害されているWsh/Wshマウスも検討に用いることにした。現在はマウスの入手準備を行なっている。また、小腸内腸内細菌DNAの回収方法について検討し、空回腸からの抽出方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の結果から得られた仮説であった腸内細菌除去によるICC/平滑筋細胞分化バランスの破綻を否定する結果が得られたため、新たな可能性について検討する必要が生じた。また、ICC機能障害が腸内細菌へ及ぼす影響の検討については、より確実な機能不全マウスを用いる計画に変更したため、実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ICCだけでなく平滑筋細胞についても免疫染色やウエスタンブロットによってタンパク質レベルで腸内細菌除去による影響を検討する。また、Wsh/Wshマウスの入手・繁殖を行い、糞便中の腸内細菌叢解析を行なうことで、ICCによる消化管運動の調節が腸内細菌維持にどのような役割を担っているか明らかにする。
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