研究課題/領域番号 |
21K15009
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
江森 千紘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10868136)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 卵巣 / 卵母細胞 / 雌性不妊 |
研究開始時の研究の概要 |
卵母細胞は次世代を形成するのに必須な細胞である。この細胞が正しく形成されないと次世代が生まれてこない(不妊)、または何らかの異常を持った産子が生まれる可能性がある。そのため、卵母細胞の質を規定する遺伝子の知見を広げることは不妊治療に有用である。本研究では、メスの妊孕性にかかわる新規因子の同定とその制御機構の解明を目的とする。具体的には遺伝子欠損マウス(KOマウス)を作製し、産子数を指標にメスの妊孕性を評価する。不妊または妊孕性の低下がみられた因子について、その因子の発現制御機構及び機能について解析する。本研究では、卵巣環境内で卵の質を維持するための戦略を見つけ出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
女性の不妊の原因はホルモンバランスの異常、卵管や子宮の環境異常や、卵母細胞自身の質の低下など多岐にわたる。本研究は妊孕性に作用する上記の要因の中でも卵母細胞自身の質や卵巣環境に着目し、メスの妊孕性にかかわる新規因子の同定とその制御機構の解明を目的としている。 研究代表者が保有する排卵前後の卵母細胞を用いたRNA-seqデータから、卵母細胞に発現し、これまでKOマウスの報告がない遺伝子を選定し、CRISPR/Cas9システムを用いてKOマウスを作製した。作製したKOメスマウスに対して、野生型オスマウスとの交配試験を行い、産子数を指標に妊孕性を評価した。これまで、6遺伝子の遺伝子欠損マウスを作製し、4遺伝子の欠損マウスでメスの妊孕性が確認され、2遺伝子の欠損マウスが不妊である可能性が確認された。妊孕性が確認されたKOマウスについては、体外受精や卵巣切片による形態観察により、異常がないことを確認済みまたは確認中である。これらの遺伝子はこれまでKOマウス作製の報告がないため、本研究で初めて妊孕性を確認した。 不妊の可能性が確認された2遺伝子について、産子が得られなかった原因について体外受精や卵巣形態観察などさまざまな手法を用い、より詳細なメカニズムの解析を行う。これにより、メスの妊孕性に影響を及ぼす新たな因子の解明につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回作製した遺伝子改変マウスの多くは妊孕性が確認されたが、2遺伝子の欠損マウスが不妊である可能性が確認された。これまで1遺伝子の不妊の原因を探索していたが、もう1遺伝子加わったためその詳細な解析を行っている。本研究の目的はメスの妊孕性にかかわる新規因子の同定であり、今後の機能解析により更なる知見が得られると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で作製した6系統のKOマウスのうち、妊孕性の低下がみられなかった4系統については1つの論文にまとめて執筆中である。不妊が確認された2遺伝子について、より詳細なメカニズムの解析を行う。体外受精の結果、受精率の低下がみられていることから受精までの過程でどのステップに異常がみられるかを確認する。上記の解析後、より詳細な解析方法を決定する。トランスジェニックマウスにより不妊の表現型が回復するか解析できれば本遺伝子の存在がメスの妊孕性に重要であるか解析する事が可能である。
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