研究課題/領域番号 |
21K15039
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 啓也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60888105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 液液相分離 / 生殖顆粒 / トランスポゾン / piRNA / メチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖細胞の核膜周縁部に観察される非膜系オルガネラ「生殖顆粒」は、生殖ゲノムの品質管理を担うpiRNAの生合成の場として知られる。生殖顆粒に局在するDEAD-box型RNAヘリカーゼVasaの機能欠損は、生殖顆粒の形成不全、piRNA生合成阻害を引き起こし、DNA損傷や不妊を招く。しかし、生殖顆粒形成におけるVasaの機能の詳細は未だ不明である。VasaのN末端のアルギニンはメチル化修飾を受ける。メチル化アルギニンは、非膜系オルガネラ形成を制御することが知られる。本研究ではVasaのアルギニンメチル化修飾に焦点を当て、生殖顆粒の形成および核膜周縁部局在へのVasaの機能的寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
生殖組織特異的に働く小分子RNAであるpiRNAは、トランスポゾンを抑制し不妊の原因となる生殖細胞でのゲノム損傷を防ぐ。piRNA生合成の場である生殖顆粒を形成するタンパク質として、生殖細胞特異的DEAD-box型RNAヘリカーゼVasaが知られるが、その生殖顆粒形成メカニズムは不明であった。 本研究ではVasaのN末端領域の自己相互作用とヘリカーゼドメインのRNA結合が生殖顆粒の形成に必須であることが明らかになった。さらにVasa結合RNAの配列解析により、VasaがトランスポゾンRNAに優先的に結合することが分かった。これは、生殖顆粒内でのトランスポゾンの効率的な抑制に寄与すると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
piRNAの機能不全はトランスポゾンの抑制不全に繋がり、不妊の原因となる。生殖顆粒はpiRNA生合成の場であり、その形成メカニズムの解明は重要である。本研究は、RNAヘリカーゼタンパク質Vasaが自己相互作用とRNA結合依存的に生殖顆粒を形成し、トランスポゾンRNAを生殖顆粒に集め効率的なトランスポゾンの抑制に寄与することを明らかにした。本研究は生殖に関わる問題の解決に寄与するのみならず、近年様々な細胞内現象で広く見られることが知られるようになった、タンパク質相分離のメカニズムと機能について重要な知見をもたらすものである。
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