研究課題/領域番号 |
21K15049
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
早乙女 友規 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (40867610)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 蛋白質工学 / アミロイド線維 / 蛋白質凝集 / DSC測定 / 一残基置換 / 高温でのRO形成 / 蛋白質の熱凝集 |
研究開始時の研究の概要 |
蛋白質のアミロイド線維形成は細胞毒性や神経変性疾患の原因と考えられ、そのメカニズム解明は学術的・臨床学的に非常に重要な取り組みである。申請者の先行研究では小型球状蛋白質の高温での可逆的なオリゴマー(RO)形成を一残基置換によって阻害することで、アミロイド線維の効果的な抑制に成功した。そこで本研究では、他の小型球状蛋白質でも僅か一残基のアミノ酸置換で常温での立体構造・物性を大幅に改変せずに、アミロイド凝集を含めた高温での熱凝集傾向性を人工的に抑制するための分子設計法の開発を目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究では、小型球状蛋白質の複雑な熱変性過程に注目し、熱凝集の初期段階で生じる可逆的なオリゴマー(RO)を一残基置換によって阻害することで、細胞毒性や神経変性疾患の原因とされるアミロイド線維の効果的な抑制を目指した。その結果、シナプス後肥厚の足場蛋白質を由来とするPSD95-PDZ3では、結晶構造中のオリゴマー接触面に存在する疎水性アミノ酸がRO形成に重要と判明した。そこでF340AやL342Aなど親水性アミノ酸に一残基置換すると、ROが阻害されたことで間接的にアミロイド線維の成熟も抑制された。以上のように最小限のアミノ酸置換によって、モデル蛋白質の熱凝集傾向性を有意に低下させることができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で考案した一残基置換による分子設計法では、モデル蛋白質の本来の構造・機能に殆ど影響することなく、高温でのRO形成だけを阻害することで、アミロイド線維をはじめとする蛋白質の熱凝集を効果的に抑制できることが示された。今後はより多くのモデル蛋白質で同様の傾向を示せれば、蛋白質凝集を人工的に抑制するための汎用的な手法としての活躍が期待される。また本研究では、逆に疎水性アミノ酸へ一残基置換することで、アミロイド線維が人工的に形成されることも発見した。よってRO形成には、一残基レベルの局所的な疎水性相互作用が駆動力となる仮説が立てられ、蛋白質凝集のメカニズム解明に向けた学術的意義も見出された。
|