研究課題/領域番号 |
21K15052
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
佐藤 慎哉 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50814894)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 多光子顕微鏡 / 網膜電図 / 桿体視細胞 / Protein kinase A / ドパミン / 蛍光生体イメージング / 網膜 / 視細胞 / Gタンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
網膜の桿体視細胞が暗所視能力を進化させた過程でcAMP依存性キナーゼ(PKA)活性調節能力を獲得した、という仮説の実証を目指す。申請者は遺伝子改変マウスPKAchuを応用した網膜PKA活性のライブイメージングで、光オフに伴う一過的で桿体特異的なPKA活性化(Satoetal.,PNAS,2020)を発見した。桿体は、錐体から分岐して暗所視に特化する進化を行った細胞種と考えられており、PKA活性調節能はその過程で獲得されたと考えられる。本研究計画では、桿体がPKA活性を調節するために獲得した分子的基盤を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
最終年度の研究成果:該当無し。年度開始1ヶ月目で辞職したため。
研究期間全体を通じた研究成果:Protein kinase A (PKA) 活性の蛍光顕微鏡法を使って、桿体視細胞が錐体視細胞より高い基礎PKA活性を持つこと、および、その活性がドパミンやドパミン受容体D4Rの作動薬で抑制されることを明らかにした。さらに、網膜の生体外電位記録法(ex vivo ERG)を用いて、ドパミンによって桿体光感度が抑制されることを示した。桿体は夜間視を司る高感度型の光受容細胞であること、PKAは光感度を上昇させ得ること、ドパミンは昼間に網膜内濃度が上昇することが知られていたため、本研究結果はドパミンが持つ役割として、PKA抑制によって桿体光感度を低下させ、桿体を昼間の明るい光環境に順応させることを示唆する。 ドパミンが桿体にだけ働く仕組みとして、ドパミン受容体D4Rが桿体にだけ発現する、という仮説を立てて免疫染色法で検討した。しかし、桿体と錐体で同等の染色を確認し、仮説を否定する結果となった。現在は、桿体が高い基礎PKA活性を維持することでドパミン感受性を示していると考え、その活性維持の仕組みを明らかにしたいと思っている。 研究期間初年度は、京都大学から国立循環器病研究センター研究所(国循)への異動に伴い、PKA活性の蛍光顕微鏡法を国循で実施できるよう環境整備を行った。具体的には、多光子顕微鏡の無償貸付、搬入、設置、周辺環境整備、故障対応、機能評価などに関する業務を行った。しかし、レーザー初期不良による故障、顕微鏡システムの初期不良、ガス配管整備の遅延や不良など問題が生じたため、環境整備に予想を大きく超える11ヶ月を要した。そして、2年目は上述の通り1ヶ月で辞職したため、計画していた研究はほとんど実施されなかった。なお、上述の成果はほとんどが研究期間以前に得ていた予備データである。
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