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アメーバ細胞の中ではたらく直動回転変換ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 21K15055
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分43040:生物物理学関連
研究機関山口大学

研究代表者

沖村 千夏  山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (80895392)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワードアメーバ運動 / ストレスファイバ / アクチン / 回転
研究開始時の研究の概要

最近代表者らは、魚類表皮細胞ケラトサイトのストレスファイバ(SF)がラグビーボールの縫い目に沿うように複数配列し、車輪のように回転するというユニークなアメーバ運動様式をもつことを発見した。本研究では SF の直線的な収縮運動がどうやって回転運動に変換されるのか解明することを目的とする。生物には人工機械に無いやわらかいという特性がある。SF の収縮によりやわらかい細胞質が変形することで直動-回転変換を行っているという仮説を立て、顕微鏡観察とロボット製作という生物学・工学的手法を組合わせて仮説を立証する。本研究の成功は、近年注目を集める生物模倣による移動体のソフトロボットへの応用展開が期待できる。

研究実績の概要

魚類表皮細胞ケラトサイトは、ラグビーボールの形状をした細胞体の中に、アクトミオシンケーブルの束であるストレスファイバを、ラグビーボールの縫い目に沿うように複数配列させ、細胞体を車輪のように回転させるというユニークなアメーバ運動を行うことを私達は以前発見した。ストレスファイバはそのアクトミオシンの構造から考えると直線的な 収縮運動しかできないはずである。本研究の目的は、ストレスファイバの直線的な収縮運動が回転運動に変換されるメカニズムを解明することである。様々な人工的な移動体において直動-回転変換機構は重要な役割を担っている。人工機械の構造が硬いのに対して、生物にはやわらかいという特性がある。本研究では、ストレスファイバの収縮によりやわらかい細胞質が変形することで直動-回転変換を行っているという仮説を立て、顕微鏡観察と機械モデル製作という生物学・工学的手法を組合わせて仮説を立証する。上述の仮説を実証するため、昨年度までに、やわらかい弾性材料を用いて細胞体を模した機械モデルを製作した。やわらかい変形可能な円筒状の弾性材料にコイルを埋め込み、コイルに電流を流したところ、コイルが収縮し機械モデルが動くことを確認できた。今年度、機械モデルの動作解析を詳細に行い、実際の細胞の運動と比較した。機械モデルでは、コイルの収縮に伴いモデルの重心が移動することによって回転しているのではなく、モデルが変形し地面を蹴って回転していることがわかった。更に、実際の細胞が機械モデルと同じく地面を蹴っているかどうかを観察するために、細胞をやわらかい基盤に這わせたところ、基盤の変形から、蹴っていると推察される動きが見られた。今後、この細胞が蹴っていると推察される動きの解析を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

数年間新型コロナウイルス感染症の流行により、各種研究集会が現地開催されず新しい知見を得ることが難しかったが、今年度は以前と同規模での現地開催の研究集会も増え、他機関との研究打ち合わせもできたことで順調に研究を遂行させることができた。

今後の研究の推進方策

生細胞が基盤を蹴っていると推察される動きを、機械モデルと同様に基盤の変異から測定できるかどうかを検証し、機械モデルとの比較をする。同時に、理論の専門家との共同研究で数理モデルによる動作の検証も行う予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Bayesian traction force estimation using cell boundary-dependent force priors2023

    • 著者名/発表者名
      Fujikawa Ryosuke、Okimura Chika、Kozawa Satoshi、Ikeda Kazushi、Inagaki Naoyuki、Iwadate Yoshiaki、Sakumura Yuichi
    • 雑誌名

      Biophysical Journal

      巻: 122 号: 23 ページ: 4542-4554

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2023.10.032

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Linear contraction of stress fibers generates cell body rotation2023

    • 著者名/発表者名
      Okimura, C., Akiyama, S., Nishigami, Y., Zaitsu, R., Sakurai, T. and Iwadate Y.
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: -

    • DOI

      10.1101/2023.01.03.522661

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Leading edge elongation by follower cell interruption in advancing epithelial cell sheets2022

    • 著者名/発表者名
      Okimura, C., Iwanaga, M., Sakurai, T., Ueno, T., Urano, Y. and Iwadate Y
    • 雑誌名

      PNAS

      巻: 119 号: 18

    • DOI

      10.1073/pnas.2119903119

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Expansion of keratocyte sheet maintaining its semicircular pattern2023

    • 著者名/発表者名
      Okimura Chika
    • 学会等名
      STATPHYS28 Satellite Meeting: Statistical Physics and Information-Processing in Living Systems
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 遊走細胞っておもしろい2023

    • 著者名/発表者名
      沖村千夏
    • 学会等名
      第63回 生物物理若手の会夏の学校
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 魚類ケラトサイトシートの相似拡大メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      沖村千夏、岩永美咲、櫻井建成、上野匡、浦野泰照、岩楯好昭
    • 学会等名
      ジオラマ行動力学 領域会議
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Demotion of leader cells to followers during the late stages of re-epithelialization in wound repair2023

    • 著者名/発表者名
      沖村 千夏,岩楯 好昭
    • 学会等名
      第61回生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械モデルから導かれたケラトサイトのストレスファイバ直動回転変換機構2023

    • 著者名/発表者名
      沖村 千夏,秋山 珠祐,櫻井 建成,岩楯 好昭
    • 学会等名
      生体運動合同班会議
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ケラトサイト集団を相似拡大させるリーダー細胞たちの綱引きの均衡2023

    • 著者名/発表者名
      岩永美咲、沖村千夏、櫻井建成、岩楯好昭
    • 学会等名
      生体運動合同班会議
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Linear contraction of stress fibers kicks the substratum for their rotation2022

    • 著者名/発表者名
      Okimura C, Akiyama S, Sakurai T, Iwadate Y
    • 学会等名
      第60回生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Breaking of actomyosin cables in keratocyte collectives and their role in the coordinated collective migration2022

    • 著者名/発表者名
      Iwanaga, M., Okimura, C., Sakurai, T., Ueno, T., Urano, Y., Iwadate Y.
    • 学会等名
      第60回生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械モデル作成による魚類ケラトサイトのストレスファイバ直動回転変換機構の推定2022

    • 著者名/発表者名
      沖村千夏,秋山珠祐, 櫻井建成,岩楯好昭
    • 学会等名
      2022年生体運動研究合同班会議
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Conversion of linear contraction of stress fibers into rotation in migrating cells2021

    • 著者名/発表者名
      Okimura C, Akiyama S, Sakurai T, Iwadate Y
    • 学会等名
      第58回生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Leading Edge Expansion in Migrating Cell Sheet by Follower Cell's Interruption2021

    • 著者名/発表者名
      Iwanaga M, Okimura C, Sakurai T, Iwadate Y
    • 学会等名
      第58回生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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