研究課題/領域番号 |
21K15057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 同志社大学 (2021) |
研究代表者 |
作田 浩輝 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (30876206)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 水-水相分離 / ミクロ液滴 / 細胞モデル / 人工細胞 / 細胞骨格 / モータータンパク質 / 高分子混雑効果 / リポソーム |
研究開始時の研究の概要 |
生体の細胞はDNA、RNAやタンパク質などの生体高分子を高濃度に含有する水溶液である。生物は高分子が混雑した環境で、「部品」となる生体分子をどのようなメカニズムで適材適所に配置し、機能が構築されるのかといった課題に対する研究は初歩的な段階に留まっている。本研究では、高分子の水-水相分離によるミクロ液滴を用いて細胞モデル系の構築を目指す。生体から抽出した分子や細胞内小器官を用いた細胞構造の再構成や生命機能の構築が溶液の単純な混合により自律的に行われる実験系の確立をする。本研究の進展により、細胞の秩序構造の形成や機能の原理の解明に迫ることが期待できる。
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研究実績の概要 |
生体の細胞の内部はDNA、RNAやタンパク質などの生体高分子を高濃度に含有する水溶液の環境である。生物は高分子が混雑した環境で、「部品」となる生体分子をどのようなメカニズムで適材適所に配置し、機能が構築されるのかといった課題に対する研究は初歩的な段階に留まっている。本研究では、高分子の水-水相分離によるミクロ液滴を用いて細胞モデル系の構築を通して、細胞における生体分子の秩序構造の形成や機能のメカニズムの解明に迫る。生体から抽出した分子や細胞内小器官を用いた細胞構造の再構成や生命機能の構築が溶液の単純な混合により自律的に行われるモデル実験系の確立を目指し研究を展開してきた。 本年度は、高分子の水-水相分離によるミクロ液滴系に骨格タンパク質の微小管とそれに沿って運動するモータータンパク質のキネシンを導入した際に、液滴の内部で対流を生成することを発見した。これまでの研究で骨格タンパク質のアクチンやDNAといった生体高分子が高分子の相分離ミクロ液滴系と混合した際に自発的に液滴の内部に局在することを明らかにしていた。本年度の研究成果として、同じく骨格タンパク質である微小管とモータータンパク質であるキネシンを同様に相分離ミクロ液滴系に混同した際に自発的に液滴の内部に局在することを明らかにした。用いた微小管-キネシン(キネシンは4量体で微小管同士を架橋しながら運動する)は収縮的なネットワークを形成することがこれまでに報告されていた。自発的に局在した微小管-キネシンが液滴の内部で収縮的なネットワークが対流現象を引き起こすことを発見した。このような対流現象は、微小管-キネシンの複合体が液滴の界面に局在し、対称性を破りながら収縮することで形成されることを数理モデルによるシミュレーションを通して明らかにした。本成果は、Commun. Chem.誌に採録決定済みとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、高分子の水-水相分離によるミクロ液滴を用いて、生体から抽出した分子や細胞内小器官の再構成や生命機能の構築が自律的に行われる実験系の確立を目指している。 本年度の研究では、生体細胞内で運動を形成するモータータンパク質を用いて、骨格タンパク質とともに細胞内部に見られるような流動が相分離ミクロ液滴の内部で生成されることを見出した。本研究成果は、自律的にモーター・骨格タンパク質が相分離ミクロ液滴の内部に局在しながら対流を形成するものである。高分子の相分離ミクロ液滴系がモーター・骨格タンパク質により駆動する報告はほとんどなく、相分離が生じるような高分子で混雑した細胞環境と運動性に関して重要な知見を与えると考える。また、液滴の内外を水媒質の環境とした運動系を構築することができたことにより、外部環境からのエネルギー源(ATPなど)を導入することで運動に対する影響を検討することが可能となり、新たな課題として検討の余地がある。 また、上記研究を論文として報告する際に当初予定していたよりも、実験・解析に時間を要した。そのため、並行する検討課題の進捗にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、高分子の水-水相分離によるミクロ液滴を用いて細胞モデル系の構築を通して、細胞における生体分子の秩序構造の形成や機能のメカニズムの解明に迫る予定である。本年度は、生体細胞の機能の一つとしてモータータンパク質による運動系を確立した。次年度は、運動機能のメカニズムの解明に迫るため、モータータンパク質による運動に加えて、液滴の界面張力の変化にともなう運動系と比較した高分子の相分離、混雑による流動・運動に対する影響を検討する予定である。さらに、運動系以外には、DNA/RNAからのタンパク質の発現などのような生体分子の働きについても再構成細胞モデルの確立を試みながら高分子の相分離現象との関連性を明らかにしていく。
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