研究課題/領域番号 |
21K15060
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
大友 章裕 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (30886560)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | V-ATPase / 1分子観察 / ナトリウムイオンポンプ / ATP合成酵素 / 1分子計測 / 分子モーター / エネルギー変換 / ナトリウムポンプ |
研究開始時の研究の概要 |
代表的な分子モータータンパク質であるV-ATPaseは、ATPの加水分解エネルギーを回転運動へと変換し標的イオンを能動輸送する。V-ATPaseは生体分子による高効率エネルギー変換素子として注目されており、その作動原理解明は分子モータータンパク質研究において重要な課題である。しかしこれまでV-ATPase全複合体での機能と構造の相関を明らかにできた例はなく、特にイオン輸送と回転運動の関係はほとんどわかっていない。本研究計画では、高精度の1分子回転計測および光照射によるATP合成系を新たに構築し、機能と直結した構造ダイナミクスを明らかにする。
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研究成果の概要 |
回転型ATPaseの機能と構造の相関解明を目的として、ナトリウムイオン輸送性EhV-ATPaseの回転1分子計測、ATP合成能の検証に取り組んだ。EhV-ATPase全複合体の回転運動を可視化することに成功し、イオン輸送と関連したステップを明らかにした。新たに実験系を構築し、EhV-ATPaseがナトリウムイオンの電気化学ポテンシャルによってATPを合成することを初めて実証した。期待以上の成果としてATPase間の大規模配列比較に基づく変異導入により、EhV-ATPaseをプロトン輸送性へと機能転換することができた。これらの成果は生体内エネルギー変換の理解に貢献するものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
回転型ATPaseは生体内エネルギー変換装置として生命科学のみならず、ナノテクノロジー分野においても重要なタンパク質である。これまで理解が不十分であった、イオン輸送部位の回転機構や機能の可逆性、イオン選択機構を明らかにした本成果は、新たな分子モーターの創生や細胞機能制御への展開が期待できる。定量的なナトリウムイオン輸送の検出やATP合成時の回転運動の可視化など今後の課題も明確になり、学術的にも意義が深い。
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