研究課題/領域番号 |
21K15077
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
芝井 厚 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (40823620)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 大腸菌 / 共培養 / ラボオートメーション / 細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は実験室内で複数種の細菌が共存する状態を、自動培養装置を用いた培養条件の動的制御により達成する。まず、識別および増殖操作が可能な2株の大腸菌の混合比率を観測制御する系を実現する。次にその培養系と蛍光を連続的にスペクトラムでとらえる計測器を組み合わせ、N種の細菌の共生状態を自動的に維持。制御するシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、実験室内で複数種類の微生物を安定に共培養する自動システムを開発することである。実験室内の試験管中などで、野外の生態系を模倣する目的などで複数種の微生物を共培養すると、多くの場合そのうちの一部の種のみが生き残って共培養系としては破綻してしまう。たった2種の細菌の場合においてもその実現は困難とされており、そのことは、同一環境中で資源を同じくする2種の生物は共存できずどちらかが絶滅する「競争排除則(ガウゼの法則)」と呼ばれている。本研究では、複数種の細菌の存在比をリアルタイムに観察しながらその比を所望の状態に維持するよう、全自動培養装置により培養環境を動的に制御するシステムを開発することを試みている。 前年度までに、複数種の細菌の存在比を定量するために、あらかじめ既知の蛍光タンパクを発現するよう改変した大腸菌株セットの作成、およびそれらの増殖を外部から操作するための抗生物質耐性遺伝子の導入を行った。結果、緑色蛍光タンパクを発現しながらカナマイシン耐性を有する大腸菌株、および赤色蛍光タンパクを発現しながらクロラムフェニコール耐性を有する大腸菌株の準備に成功した。またプレートリーダを用いてそれらの存在比の推定に成功した。 本年度は作成した2種の大腸菌を様々な混合比で培養系・測定系に供した。そして、混合比および培養の時間経過により、蛍光測定ベースで混合集団のダイナミクスを推定できることを確認した。そして自動培養系において、測定した結果が次ステップの薬剤添加量に反映するようなプログラムを作成し、薬剤添加による集団構造の制御の準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた2番目の段階である、スペクトラム型のプレートリーダによる微生物の混合培養系の測定に成功した。自動培養系に、蛍光測定結果から推定した混合集団構造に応じて、集団構造を操作するための薬剤の添加を行うプログラムを構築し、混合培養制御実験の下地を整えた。また計画をさらに促進するかたちでプレートリーダに加えて顕微鏡を自動培養系に統合したため、蛍光だけでなく画像情報も取得して集団構造を推定できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、構築した自動共培養系を用いて、任意の微生物共培養状態の存在比を自動制御するシステムの開発を進める。これにより、共培養状態が微生物の実験室内進化に与える影響を解析し、共培養の破滅や安定化がどのような機序やタイムスケールで生じるかを観察する。 また、当初の計画を加速させる形で安価な顕微鏡システムを自動培養系に追加し、画像データが自動共培養状態の推定にどのように役立つかを検証する。 以上で得られた結果を学会発表および学術誌発表し、研究成果を世に広く共有する。
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