研究課題/領域番号 |
21K15100
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樫尾 宗志朗 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (40823307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | キヌレニン代謝 / 組織修復・組織再生 / ショウジョウバエ / タキキニン受容体 / 組織間相互作用 / 組織修復 / キヌレニン / 代謝 / 受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、組織間相互作用に関わる代謝産物とその受容メカニズムを明らかにすることで、修復を制御する全身性応答の理解を深めることを目的とする。組織修復の機構解明は、医学的にも生物学的にも意義のある課題であると言えるが、組織自律的な分子機構の解析と比較して、組織非自律的な因子、体内環境についての理解は依然として立ち後れている。自身のショウジョウバエ遺伝学と体液メタボローム解析を用いたこれまでの研究によって、幼虫の体液に存在するキヌレン酸(KynA)が組織修復に寄与することが明らかになったが、KynAによる再生制御の分子メカニズムは未だ不明であり、具体的な組織やターゲットを本研究で明らかにする。
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研究成果の概要 |
ショウジョウバエ幼虫の遺伝的組織修復システムを用いて、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の遺伝子スクリーニングを行い、組織修復を遠隔制御する経路を探索した。その結果、進化的に保存されている神経炎症性受容体であるタキキキニン様受容体86C(TkR86C)が同定された。TkR86Cを神経特異的にノックダウンすると、正常発生に影響を与えることなく修復が遠隔的に阻害された。組織修復の媒介因子として自身が見出したキヌレニン(Kyn)経路の関与について検証したところ、TkR86Cの神経特異的ノックダウンは、傷害依存的な脂肪体および体液中のKyn代謝産物の変化を阻害し、修復を抑制していることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、修復能力を左右する体内環境の理解を深めることを目指し、神経におけるTk-TkR86Cシグナルが脂肪体のKyn代謝を介して組織修復に寄与するという新たな修復制御機構を見出した。既存の研究では、神経投射を介した組織修復には着眼されてきたが、投射非依存的な代謝を介した修復制御は類を見ない。今後、傷害による中枢脳のTk-TkR86Cシグナルの制御機構および、TkR86C発現神経による脂肪体Kyn代謝制御機構が解明されることによって、新たな修復制御、ひいては新たな治療戦略に影響を与える端緒となることが期待される。
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