研究課題/領域番号 |
21K15118
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 優 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (40838265)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 光合成 / 変動光 / 遠赤色光 / 緑色植物 / 電子伝達系 / プロトン駆動力 / 循環的電子伝達経路 / イオン輸送体 / 陸上植物 / 光阻害 / 植物生理生態学 / 電子伝達反応 |
研究開始時の研究の概要 |
野外では光強度が激しく変動する。植物の光合成は、その変化(変動光)に完全には追随できない。そのため、変動光はストレス要因であり、特に光化学系Iが変動光下で阻害されやすい。申請者は、自然光に豊富に存在する遠赤色光が、光化学系Iによる循環的電子伝達を駆動して光化学系Iの阻害を防ぎ、変動光下の光合成を調節することを示してきた。本研究では、「遠赤色光による光化学系Iの駆動を介したプロトン駆動力および電子伝達の調節が光合成を最適化する」という仮説を、電気生理学、高速時間分解蛍光/リン光スペクトル解析法、生化学的手法を駆使して検証する。さらに、変動光に強い野外植物を探索する。
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研究成果の概要 |
光合成励起光が強光→弱光にシフトすると、光合成速度は急激に低下するが、光合成励起光に加え光合成を駆動しない遠赤色補光があると、ない場合にくらべて光合成速度が高くなる。このメカニズムには、光合成チラコイド膜に局在しK+ / H+交換体として提唱されているKEA3が関与していることを明らかにした。遠赤色光があることで、KEA3を介したチラコイド膜ストロマ側へのH+排出によりプロトン濃度勾配を小さくし、光化学系保護機構である熱散逸系の駆動解除を速めたことが光合成増大につながった。KEA3は、弱光シフト後の120秒間の光合成増大に寄与した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「光合成を駆動しない遠赤色光が光合成機能を最適化する。そして、この効果は野外の自然光環境のような光強度が激しく変動する条件下で最も機能する」、という光合成における遠赤色光の意義の解明は、変動光分野だけでなく、光合成研究における先導的な結果を与えるものと考えている。また、野外植物が自然光下で行う真の光環境応答を知る上での手がかりになる重要な研究であるとも位置づけられる。 実験室内で行う植物の光に対する応答、特に光合成を扱う分野における“光の扱い方”に、より焦点があてられるようになるはずである。
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