研究課題
若手研究
発芽は、植物の一生において最も重要なイベントの1つである。様々な環境で初期生育を達成するために、植物は最適なタイミングで発芽する機構を進化させてきた。適切な発芽管理は農業的にも重要であり、特に種子を収穫する穀物植物においては直接収量に関わる。本研究では最近確立されたGWASシステムを用いて、世界的に栽培されている穀物植物であるイネにおいて温度依存的な発芽調節機構を明らかにすることを目的に研究を行う。
発芽は、植物の一生において最も重要なイベントの1つである。様々な環境で初期生育を達成するために、植物は最適なタイミングで発芽する機構を進化させてきた。適切な発芽管理は農業的にも重要であり、特に種子を収穫する穀物植物においては直接収量に関わる。本研究では最近確立されたGWASシステムを用いて、世界的に栽培されている穀物植物であるイネにおいて温度依存的な発芽調節機構を明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、14-3-3ファミリーに属する遺伝子GF14hのORF上に存在する4塩基のInDelが温度依存的に発芽調節に関わっていることを見出した。さらにGF14hの作用機序について解析を行った結果ABAシグナル伝達を制御することが知られているbZIP型転写因子OREB1、そしてペプチドホルモンとして機能していることが知られているPEBPファミリーに属するMFT2がGF14hと複合体を形成して発芽の制御に関わることを明らかにした。本研究成果は、これまで不明であった日本イネ集団における発芽特性の違いを説明する新規遺伝子を同定したことのみならず、新規ABAシグナル伝達制御を介した発芽調節メカニズムを同定することに成功した。その遺伝子は14-3-3ファミリーに属するタンパク質をコードしており、これまで様々な機能が知られていた14-3-3ファミリータンパク質の中でも新規の機能を有するタンパク質であった。さらに、本研究では環境条件を加味したGWAS(GxE GWAS)を用いて当該遺伝子を同定することに成功した研究成果であり、イネを対象としたGxE GWASシステムを確立することができたと言える。
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