研究課題/領域番号 |
21K15146
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
北之坊 誠也 筑波大学, 下田臨海実験センター, 研究員 (40899291)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | ミドリイシ属サンゴ / 放卵放精 / 受精 / 雑種種分化 / 交雑 / 多種同調産卵 / 遺伝子流動 / 生殖 / 配偶子認識機構 / 野外 |
研究開始時の研究の概要 |
多種同調産卵するミドリイシ属サンゴは、産卵時、多種配偶子が海中に混在するが、同種の配偶子間で受精することで種が維持される。一方で配偶子が種間受精する種が報告されている。放卵放精種の受精成功には、産卵時刻、精子濃度、配偶子認識などの複合的な要因が関与するが、野外で産卵後、どのように同種同士での受精や交雑が起きているか、検証は全くされていない。本研究では、野外での産卵時刻や海中精子濃度の確認、分子系統解析とバーコード領域の探索および次世代の受精選択性を検証し、現生ミドリイシ属サンゴにおける、野外での受精成功や交雑の状況を解明する。サンゴで提唱されてきた交雑能の意義や進化についての解明が期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究では、同所的に生息し、多種同調産卵するミドリイシ属サンゴの生殖様式に注目し、現生ミドリイシ属サンゴにおける野外での受精状況と異種間交雑の頻度、子孫の遺伝的多様性の変化を解明することを目的としている。本年度は、以下の研究を行った。 17種145サンプルを用いて次世代シークエンサーで得られたデータの解析を開始し、ミドリイシ属サンゴのゲノム科学的研究を進めた。分子系統解析を行い、先行研究と比較してブートストラップ値の高い信頼性のある系統樹を作成した。その結果、現生するミドリイシ属サンゴの交雑能を持つ種間で、同一の共通祖先から分岐した可能性が示唆された。Acropora tenuisとAcropora doneiが最初に分岐し、その後、他のいくつかの種が分岐し、多種同調産卵する種が分化したことが考えられる。 また、遺伝子ネットワーク解析では、系統樹の結果を支持する内容として、各クレードを形成するグループが遺伝的には離れており、同じグループ内では遺伝的な交流があったと思われる細かなネットワークが形成されていることが示唆されました。つまり、異なるグループ間では遺伝的な距離が大きく、しかし同じグループ内では遺伝的な交流が行われていた可能性があることを示唆しています。さらに、集団遺伝学解析により、おおよそ7つの集団が形成されていることが示され、系統樹上で近縁なクレードを形成する種が同じクラスターに分類された。この結果から、遺伝的に近い種が同じ集団を形成している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度に取得した遺伝子データを利用した解析は進んだが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、今年は高知での実験を行うことが困難となってしまい、温帯域における産卵実験および生態調査を実施できなかった。次世代シークエンス解析や、データ解析も保留している。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度では、ミドリイシ属サンゴの種分化と遺伝子流動の関係を解明するために、ゲノム解析をさらに進める。当初は、温帯域のサンプルも解析に含める予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実験が延期された。そのため、今後はこれまで取得したデータの解析を優先し、明らかになったデータをまとめて国際誌に投稿する予定である。この投稿によって、遺伝子解析を通じて種間の遺伝子流動などの多種同調産卵するミドリイシ属サンゴの交雑の進化などの詳細を明らかにすることを目指す。
|