研究課題/領域番号 |
21K15147
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
六車 香織 中部大学, 環境保全教育研究センター, 特任助教 (70825728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 軟骨魚類 / 色覚 / 神経回路 / 網膜 / 電子顕微鏡法 |
研究開始時の研究の概要 |
色覚とは波長特性の違いに基づいて光を識別する感覚であり、サメ類とエイ類は同じ軟骨魚類に属するが、色覚のパターンが大きく異なることが知られる。しかしながら軟骨魚類の色覚に関する網膜内の神経回路については不明な点が多い。本研究では軟骨魚類網膜における色覚に関連した神経回路の解明を目的として、透過型電子顕微鏡法と免疫電子顕微鏡法を組み合わせることで各視細胞と後に続く双極細胞との接続様式の解析を試みる。得られた結果と哺乳類などにおける既報と比較することで、脊椎動物における色覚の進化への理解を深める。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、軟骨魚類網膜における色覚に関連した神経回路の解明である。軟骨魚類は現生の脊椎動物の中で最も古くに分岐した顎口類であるが、サメ類とエイ類で色覚のパターン (視細胞の構成) が大きく異なることが知られている。本研究によって軟骨魚類における桿体視細胞および錐体視細胞の色の識別に関する機能の一端が明らかになれば、脊椎動物における色覚の進化に関してより深い理解につながることが期待される。2023 年度には引き続き、これまでに桿体視細胞 (桿体) と複数タイプの錐体視細胞 (錐体) が報告されているヤッコエイ Neotrygon orientalis、桿体と 1 タイプの錐体が報告されているイヌザメ Chiloscyllium punctatum、および桿体のみが見つかっているネコザメHeterodontus japonicusを実験魚として以下の解析を行った。 1) 透過型電子顕微鏡 (TEM) による網膜内超微細形態の観察 電子線照射によるダメージにより、これまで長時間の観察を行うことが難しかったが、試料作製法を最適化することで、より良好な状態での観察が可能となった。現在各視細胞の形態について詳細な解析を進めているが、ヤッコエイ、ネコザメの視細胞シナプスは哺乳類のものとは異なる微細形態を示すことがわかった。 2) 軟骨魚類網膜に有用な桿体型・錐体型双極細胞マーカーの探索 上記の3種を用いた免疫組織化学染色法により、軟骨魚類網膜においても有効な双極細胞マーカー候補が得られた。 現在は1)、2) を組み合わせた免疫電子顕微鏡法により、各視細胞がどのようなタイプの視細胞と接続しているのか解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料作製法の最適化や軟骨魚類網膜に有用なマーカー候補を得ることはできたが、免疫電顕法など 2023 年度中に予定されていた研究項目を遂行できなかったため、進行はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ヤッコエイ、イヌザメ、ネコザメをを用いて軟骨魚類網膜における視細胞のシナプス構造についてTEMによる超微細構造の解析を進める。合わせて免疫電子顕微鏡法により、軟骨魚類網膜ニューロンに有用なマーカーを用いた標識法を確立し、各視細胞がどのようなタイプの双極細胞に接続しているのか精査する予定である。
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