研究課題/領域番号 |
21K15158
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 公益財団法人黒潮生物研究所 |
研究代表者 |
戸篠 祥 公益財団法人黒潮生物研究所, 研究部局, 主任研究員 (30814397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 鉢クラゲ綱 / 冠クラゲ目 / 系統分類学 / 生活史 / 生活環 / ポリプ / イラモ / エフィラクラゲ / 鉢クラゲ / 鉢虫綱 / クラゲ相 |
研究開始時の研究の概要 |
鉢クラゲ綱冠クラゲ目は、浮遊生活するクラゲと底生生活するポリプを世代交代する生活史をもつ。冠クラゲ目のクラゲとポリプは互いに全く異なる形態を示すため、それぞれが別種として分類される事態が起こっている。日本産冠クラゲ目は11種がしられているが、いくつかの種については複数種が含まれる可能性が示唆されていたり、分類学的実体が不明であったりと、再精査が必要とされている。また、近年では日本未報告種と思われる種が報告されているが、種同定の鍵となる種の検索表が機能していないため、未同定の状態にある。本研究では、これら既報告種と未同定種を精査し、日本産冠クラゲ目の分類学的再検討を行うことを目的とした。
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研究成果の概要 |
日本沿岸(駿河湾、瀬戸内海、四国沖、奄美大島、琉球列島)で得られた標本をもとに形態学的観察、分子系統解析、生活史の観察を行い、日本産冠クラゲ目(鉢クラゲ綱)の分類学的精査を行った。その結果、冠クラゲ目のポリプおよびクラゲの標本を複数種、採集することができた。また、分子系統解析に用いる16SrDNAや18SrDNA、COXIについて配列データを得て、分子系統解析を作成し、種間および系統関係を推察した。イラモおよびエフィラクラゲについては生活史の観察を進め、ポリプとクラゲの種関係を明らかにすることができた。その結果、エフィラクラゲ属には日本初記録種や未記載種が複数種含まれることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本近海でみられる代表的な冠クラゲ目としてイラモが挙げられる。イラモは強烈な刺胞毒をもち深刻な刺傷をもたらすため公衆衛生上の問題種とみなされている。また、冠クラゲ目はクラゲとポリプで全く異なる形態をもつため、互いに別種とされるような分類学的混乱が起こっている。さらに冠クラゲ目は化石種で構成されるConulataeに近縁であるとされている。本研究では日本産冠クラゲ目全種を対象に生活史の観察を行った上で分類学的精査を進め日本沿岸に生息する冠クラゲ目の多様性や生態、系統進化に関する新しい知見を得ることができた。本知見は冠クラゲ目による刺傷対策の基礎になるとともに、分類学的整理の基盤となるものである。
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