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ヤドカリに探る個体識別の継続と破棄更新

研究課題

研究課題/領域番号 21K15159
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分45040:生態学および環境学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

石原 千晶 (安田千晶)  北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (80771451)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード個体識別能力 / オス間闘争 / 情報利用 / 情報更新 / 個体識別 / 無脊椎動物
研究開始時の研究の概要

本研究は、脊椎動物にはない特性を多数備えた“脳なし”の甲殻類、テナガホンヤドカリを対象として [1] 識別継続時間の特定(2021年度)、[2] 識別相手の状態変化(脱皮・自切)に伴う柔軟な情報更新(2022・23年度)、に取り組み、脊椎動物を中心とした個体識別能力の包括的な議論を目指す。
なお、本研究では、繁殖期のメスをめぐるオス間闘争と、貝殻をめぐる明確な闘争(貝殻闘争)の前段階である、小競り合いを介した個体識別能力を検証する。特に、識別継続期間に2個体間の攻撃強度が低下することを利用し、時間の経過や相手の状態変化に伴って、攻撃強度が最初の遭遇と同水準まで回復するかに着目する。

研究実績の概要

近年、ある個体を他個体と区別する個体識別能力が、高度に発達した脳を持つ脊椎動物だけでなく、無脊椎動物でも数多く確認・報告されている。本研究課題は、このような背景を踏まえ、申請者自らが個体識別能力を実証した、岩礁性小型甲殻類のテナガホンヤドカリを含む、ホンヤドカリ属の複数種を対象として、ヤドカリの個体識別能力の破棄と情報更新プロセスを検証するものである。

2023年度は、大きく3つの成果があった:
【1】前年度に予報的に報告していたテナガホンヤドカリの「大鋏脚の自切による情報更新の詳細な内容」の検証を進めた。その結果、本種のオスはメスをめぐるオス間闘争の際に「大鋏脚の有無」に基づいて相手を識別するのではなく、仮に識別相手が再遭遇時に大鋏脚を失っていても、物理的接触を介して同一の相手だと識別できる可能性が示唆された。これらについて、新たな学会にて報告をした。
【2】同じくテナガホンヤドカリのオス間闘争において、1度闘争相手を識別したオスは、その個体との再遭遇までに別の個体と遭遇しても、過去の識別を維持することを明らかにした。
【3】同属のユビナガホンヤドカリにおいて、本種のオスが、オス間闘争で示す個体識別能力を含む情報利用パターンを、査読付き国際誌に原著論文を発表した。本論文は、本属において2例目となる、(i) オス間闘争を介した個体識別能力を報告するだけでなく、本種のオスが、(ii) 自らと闘争相手との相対的なサイズ差、(iii) 自らの敗北経験、(iv) 闘争相手の勝利経験、という、自身と相手の相対的な力関係の評価に有用な、計4つの指標を用いて、複雑な意思決定をおこなうことを示唆する成果を上げた。このような4つの指標を利用する例は、世界初である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

R5年度は、申請者の一身上の都合、また別に採択されていた研究課題との兼ね合いにより研究全体の進捗速度が遅延したが、新たな成果の萌芽が得られ、また同時に原著論文の発表に至ったため、このような評価とした。

今後の研究の推進方策

2024年度は、得られたデータの解析を進め、本研究課題に関する未発表成果の報告に注力する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Male Pagurus minutus hermit crabs use multiple types of information in decisions to give up male-male contests2023

    • 著者名/発表者名
      Yasuda Chiaki I.、Koga Tsunenori
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1

    • DOI

      10.1038/s41598-023-47947-3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 北海道南部に生息するヤドカリ2種における貝殻利用パターンの種間変異2021

    • 著者名/発表者名
      津崎 尚也、村上 万龍、石原(安田) 千晶、和田 哲
    • 雑誌名

      CANCER

      巻: 30 号: 0 ページ: 35-48

    • DOI

      10.18988/cancer.30.0_35

    • NAID

      130008078814

    • ISSN
      0918-1989, 2424-1407
    • 年月日
      2021-08-01
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] テナガホンヤドカリのオス間闘争における個体識別:ケガをした相手は「誰」なのか2023

    • 著者名/発表者名
      間中夢歩・石原千晶
    • 学会等名
      日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 敗者効果より個体識別:ユビナガホンヤドカリにおける闘争回避傾向の強化2023

    • 著者名/発表者名
      石原千晶, 古賀庸憲
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] テナガホンヤドカリのオス間闘争における個体識別:ケガをした相手は「誰」なのか2023

    • 著者名/発表者名
      間中夢歩, 石原千晶
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ヤドカリのオス間闘争:武器形質の寄与と情報利用2022

    • 著者名/発表者名
      石原千晶
    • 学会等名
      日本甲殻類学会第60回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] ヤドカリに愛着はあるが愛情はない2022

    • 著者名/発表者名
      石原千晶
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      海文堂出版
    • ISBN
      9784303800086
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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