研究課題/領域番号 |
21K15161
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 高知大学 (2022) 東北大学 (2021) |
研究代表者 |
山崎 大志 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 日本学術振興会特別研究員(PD) (70866392)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 貝塚標本 / 遺跡 / 博物館 / 貝類 / 形態進化 / 浮遊幼生 / 種多様性 / 埋蔵文化財 / 海産貝類 |
研究開始時の研究の概要 |
生活史初期に浮遊幼生として分散する海産無脊椎動物は、集団間の遺伝的分化、ひいては種分化が生じ辛いとされてきた。しかしながら実際には、観察される海域の生物多様性は非常に高い。本研究では、浅海性の巻貝を対象とした時空間的な形態変遷史および集団ゲノミクス解析から、幼生分散がもつ種多様化への機能を気候変動の影響と合わせ検証する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、昨年度に新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化のため大きく制約されていた野外におけるフィールド調査が実施でき、生態データの取得および新規のサンプルを入手した。本年度得られたサンプルに加え、これまでに取得済みのサンプルを用いて、浅海域の海産巻貝を対象とした形態解析および遺伝的解析を実施している。次世代シークエンサーを用いた集団ゲノミクス解析を進めた結果、潮間帯性の巻貝であるイシダタミ属において島嶼部(トカラ列島および琉球列島・伊豆諸島・小笠原諸島)を中心に独自の遺伝的系統が出現することが明らかとなった。このうち一部は筆者による先行研究(Yamazaki et al., 2017. Mar Biol)においても示唆されていたものの、本研究のように核遺伝子をゲノムワイドに検討することで、より詳細な遺伝的構造のパターンが得られた。現在これらの系統群を対象とした集団動態推定の解析から集団拡大および縮小と分岐の時系列解明を進めている。同様に、東北太平洋沿岸域において複数の巻貝種群を用いた集団構造の比較を進め、共通の遺伝的境界を検出した。加えて本年度は博物館等の機関に収蔵されている貝塚遺骸標本が実見できた。これも野外調査と同様、昨年度は十分に実施できなかった研究活動である。特にバテイラ属を中心とした浅海性巻貝や、二枚貝類の実見および撮影を行い、形態解析に供した。バテイラ属を中心とした巻貝類を対象として、過去および現生サンプルの形態解析との結果と比較するため、集団ゲノミクス解析を実施するための次世代シークエンサー用のライブラリー作成を進めている。これらについて概ね現生種のサンプルは揃い、殻形態の定量化ができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は新型コロナウイルス感染症に関する社会情勢の影響を強く受けたため、計画の変更が不可避であったため進捗に遅れが生じていた。しかしなら本年度は一部制約を受けたものの、これまで実施できていなかった野外調査および遺骸サンプルの実見が可能となった。さらに、これまでに取得してきたサンプルに関するデータの取得が概ね完了し、遺伝的・形態的解析も進行中である。以上のことから本年度は、進捗状況の遅れをカバーできたため、おおむね順調に研究が進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
未調査地での野外調査およびサンプリングを実施する。これまでに得られたサンプルを高解像度の遺伝的解析へ供し、ゲノムワイドにSNPsデータを取得する。系統解析・集団構造推定・集団動態推定を行う他、生態的特徴との関連性を検討する。公的機関において貝塚遺骸標本の実見を進めていくことに加え、サンプルの年代推定を引き続き進める。解析可能となったサンプル群について古代DNAの取得に取り組み、遺伝的解析を実施する予定である。
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