研究課題/領域番号 |
21K15168
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
水元 惟暁 沖縄科学技術大学院大学, 進化ゲノミクスユニット, リサーチフェロー (60885672)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シロアリ / タンデム歩行 / 系統種間比較 / 視覚情報 / ヤマトシロアリ / イエシロアリ / SLEAP / 同性間ペア / 群れ行動 / 集団行動 / タンデム / アリ / トラッキング / 行動解析 / 群れ / 社会性 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
多数の個体からなる群れを制御する行動ルールは、行動学における大きな謎である。従来の魚や鳥におけるモデルは、視覚に基づく相互作用を想定しており、視覚が未発達な昆虫の群れには適用できない。本研究では、接触による追従行動に基づく、昆虫の群れ行動アルゴリズムを検証する。シロアリにおけるタンデム歩行をモデル化し、複数個体系に拡張することで、リーダー・フォロワーにおける追従の行動ルールと、群れ行動の関係を調べる。またコウグンシロアリ等における集団探索プロセスを観察し、その行動ルールを探る。ペア行動から群れ行動まで、追従行動を軸に精査することで、複雑な行動の進化プロセスの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、シロアリのタンデム歩行行動をモデルシステムとして、昆虫の接触に基づく群れ行動の行動ルールを解明することである。当該年度もまた昨年度に引き続き、野外調査許可の取得が難航したため、昨年度の成果の論文化と、日本国内のシロアリ種のタンデム歩行行動の行動解析を中心として行った。 まず本年度は、昨年度に得られた結果をさらに解析してまとめた3つの鍵となる論文を発表した。特に本研究で調べるタンデム歩行による群れ行動のモデルの前提情報として、シロアリの雌雄ともにリーダー・フォロワーの行動ルールを持つこと、シロアリはタンデムに視覚情報を用いていないことを論文として発表した(Mizumoto et al., 2022 PNAS; Mizumoto and Bourguignon, 2022 Ecol Entomol)。特に前者はタンデムの行動ルールはシロアリの祖先形質として存在し、全てのシロアリで共有されているとこを示したため、この論文は来年度に行うコウグンシロアリの行動解析を論文化する際にもかなり重要なピースになる。また、シロアリとアリのタンデム歩行を比較解析し、そのメカニズムの多様性を見出した論文も発表できた(Mizumoto et al., 2023 iScience)。 次にイエシロアリ(Coptotermes formosanus)とヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)の2種のタンデム歩行行動について、高解像度・高FPSで撮影することに成功した。これらの動画から、タンデム中のシロアリの触覚や各脚を含む16部位の動きをデータ化した。また、シャーレ上のシロアリの歩行パターンについて、20種以上のシロアリの動画を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度に引き続き、海外調査を行うことができなかったが、国内のシロアリやアリのデータを用いて質の高いデータを得るとともに、インパクトのある論文を複数発表することができた。 また具体的にはここに明記しないが、国内シロアリのタンデム歩行行動についてより詳しく観察する機会が得られたことによって、新しい実験系にも着手することができている。
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今後の研究の推進方策 |
調査許可も取得できたため、今年度はマレーシアでのコウグンシロアリの観察を行う。時間の関係上コウグンシロアリの動画解析は今年度中に完了しないかもしれないが、同時並行で国内種のタンデムのさらなる動画解析を行うため、今年度も一定の成果が期待される。
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