研究課題/領域番号 |
21K15169
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 (2022) 基礎生物学研究所 (2021) |
研究代表者 |
西海 望 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特別研究員 (10760390)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 無人航空機 / 捕食者-被食者間相互作用 / 捕食戦術 / 目標追跡運動 / 無人航空機応用 / 航法誘導制御システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では猛禽の目標追跡運動に着目し、その移動の仕方がハトを捕らえる上で如何に有効なのかを明らかにする。猛禽の目標追跡における移動アルゴリズムは、被食者に対して優れた追跡コースを導くものとして考えられており、また、被食者の知覚を狂わせる効果もあると示唆されてきた。しかしながら、検証実験の難しさから、これらの機能が実在するかどうかは不明であった。本研究ではロボット技術を導入することで、仮想の猛禽に様々な移動アルゴリズムでハトを追跡させ、猛禽特有の移動アルゴリズムがハトを捕獲する上でどのように適しているのかを検証する。研究期間の前半は実験系を開発し、後半は米国の野外実験場にて検証実験を実施する。
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研究実績の概要 |
本年度は実験用無人機の開発と米国での実験実施の二方面での研究展開を予定していた。しかし、無人機開発の一部において、実際の運用に基づいた仕様検討が必要となり、無人機の開発よりも米国での実験実施に重点を置くこととした。 今回の米国での実験は、前年度の試験内容を踏まえ、より実践的な状況を想定したものであり、そこでの無人機オペレーションの要領検討および脅威に晒されたハトの危機回避能力と意思決定の探究をおこなった。 具体的な試験内容は、無人機を操作し、高速巡航中のハト集団を目視外距離から特定し所定の要撃空域内で衝突直前まで追跡をおこなうというものである。巡航中のハトの位置情報はGPS情報をもとに算出され、近傍数kmを並走する中継車に無線伝送される。中継車は携帯電話回線を通じて、遠隔地にある無人機運搬車へハトの位置情報を伝送する。無人機運搬車は受信した情報をもとに推定された要撃地点へ急行し無人機を発進させ、以後はGPS情報と無人機搭載カメラ映像をもとに無人機をハト集団に対して突進させる。このように、ハトという捕捉しにくい高速飛翔体への追跡を成り立たせるには、動的な状況の中でハト集団、中継車、無人機運搬車、無人機の間で情報伝達の経路を確立させるなど、分担要員間で緊密な連携をとる必要があった。本試験を経て、そのためのオペレーションの要領を確立することができた。 また、収集したハトの移動経路情報から、脅威に晒されたハトの危機回避能力と集団意思決定機構について、生物学的に重要な知見を得た。脅威に晒された際、ハトの一部の個体はやみくもに回避運動をおこなうのではなく、編隊を維持しようとする動きや安全圏へ進路を維持しようとする動きを織り交ぜていることが確認された。また、一度脅威に晒されたハトの一部では、その後たとえ無人機に襲われない状況であっても編隊内の安全な場所に位置しようとする行動が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り現実的な状況設定のもとで無人機でハトを追跡することができ、生物学的発見につながる実験をおこなうことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の試験結果から、実験系拡張に向けて重要となる要素がいくつか確認された。主に、無人機の飛行能力、通信能力といった無人機の性能に関すること、無人機の運用権限拡大に向けた航空法の一部適用免除など法令等を含めた環境整備に関すること、が挙げられる。これらの知見を今後の実験系構築の改善に活用していく。 また、実験で用いたハトの行動の解析については、まだ基礎的な段階に留まっている。今後、観察されたハトの行動がハト全般に言えるのかどうか統計的な分析を進めていく予定である。
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