研究課題/領域番号 |
21K15171
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東北大学 (2022-2023) 国立研究開発法人水産研究・教育機構 (2021) |
研究代表者 |
長田 穣 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90750084)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 生態系機能 / 生物多様性 / 生物群集 / 非線形時系列解析 / 因果推定 / 生物間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
「生物多様性が高い生態系ほど人類にとって有益な機能を安定して発揮する」は多くの生態系管理の前提とされる重要な理論予測である。しかし、この予測は中立系や競争系といった特定の相互作用が優占する生態系を仮定して導出されており、その普遍性は理論的にも実証的にも明らかでない。本研究の目的は、沿岸生態系の魚類群集等を対象に、生態系機能に対する普遍的な生物多様性効果を明らかにすることである。そのために、一般化した理論予測から幅広い生態系で成り立つ新しい仮説を提案するとともに、時系列データを用いて仮説を検証するための手法を確立する。
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研究実績の概要 |
「生物多様性が高い生態系ほど人類にとって有益な機能を安定して発揮する」ことは国連ミレニアム生態系評価など多くの生態系管理の前提とされる重要な理論予測である。本研究では、この理論予測を複雑な相互作用をもつ群集に適用できるよう拡張し、野外データを用いて拡張した理論予測を実証することを目的とする。生態系機能の理論予測についてはランダム群集にネットワーク理論の近似を適用することで解析解を求めることに成功した。種数だけでなく相互作用の結合度や相互作用タイプ頻度(群集に含まれる正と負の相互作用の割合)がどのように生態系機能に影響を与えるかを初めて明らかにした。また、本課題で考案したアプローチを用いて、相利共生系のレジリエンスを解析的に求める共同研究を開始した。系に含まれる種数が増加するほどレジリエンスが高まることがわかった。
理論予測の実証に必要な因果推定(相互作用推定)法の開発を昨年度に引き続き行った。有意性検定(サロゲート法)について手法の検討を行い、分散を明示的に計算することで検定力が増加することがわかった。また、データ不足による見かけの転移エントロピーの増加を防ぐため、有効転移エントロピーの計算を実装した。開発した手法はRパッケージとしてGithubで公開している(https://github.com/yutakaos/rUIC)。大規模データへの適用に耐えうるようにプログラムの高速化と省メモリー化を行った。開発した手法を用いて、キノコ間の相互作用に関する共同研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論研究は予定通り進展しているものの、実証研究に遅れが生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
因果推定法について更なる改良を行うとともに、理論予測の実証を開始する。
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