研究課題/領域番号 |
21K15177
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
古部 瑛莉子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (30845566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 最後野 / 成体神経幹細胞 / 高脂肪食 / スクロース / コレシストキニン / レプチン / 延髄最後野 / 神経新生 / グリア新生 / 神経幹細胞 / 摂食 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満や糖尿病などの摂食に起因した生活習慣病の罹患者は増え続け、大きな問題となっている。脳室周囲器官の最後野(AP)は血液脳関門のない特徴的な脳領域である。申請者はこれまで、APでは成体でも細胞新生が盛んに生じ、周囲の孤束核や舌下神経核等の摂食に関わる脳領域に細胞供給をすることを見出してきた。さらにAPにはAmylinやGhrelinを始めとした摂食に関する受容体の発現が報告されている。しかし、摂食に関連するペプチドによる刺激がAP神経幹細胞の細胞供給に影響を及ぼし、摂食の制御に関与しているのかは分かっていない。そこで本研究では、AP神経幹細胞の摂食に対する機能的役割の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
延髄最後野には成体神経幹細胞ニッチェが存在する。最後野は背側迷走神経複合体(DVC)の一部を形成し、DVCは食物摂取を阻害する内臓ニューロンおよびホルモンの情報を統合する。そこで、マウスに高脂肪食摂取またはスクロース飲水させ、最後野の神経幹細胞に及ぼす影響を調べた。その結果、高脂肪食摂取またはスクロース飲水はその継続期間の長さによって神経幹細胞および前駆細胞の増殖に与える影響が異なることが判明した。また、摂食抑制ホルモンの末梢投与に応答し神経幹細胞の増殖活性および分化細胞種が変化していた。本研究結果から、最後野神経幹細胞および前駆細胞が摂食またはエネルギー代謝の制御に関わる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
飽食の時代である現在、肥満や糖尿病などの摂食に起因した生活習慣病の罹患者は増え続け、大きな問題となっている。しかし認可されている摂食を制御する薬剤は1種類にとどまり使用ハードルも高いため、治療や予防方法は極めて少ない。脳室周囲器官である最後野(AP)は血液脳関門のない非常に特異な脳領域で、血液中の分子を直接受容し、他の脳部位に末梢からの情報を伝える役割を持つ重要な器官である。本研究では、最後野神経幹細胞および前駆細胞が摂食またはエネルギー代謝の制御に関わる可能性を示した。この結果は学術的意義だけでなく血液脳関門を考慮しなくてもよい薬剤開発につながる可能性がある。
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