研究課題/領域番号 |
21K15186
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木矢 星歌 金沢大学, 生命理工学系, 特任研究員 (40793196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 長期記憶 / 初期応答遺伝子 / 即初期遺伝子 / 神経生物学 / ショウジョウバエ / 昆虫 / ドーパミン神経 / 性行動 / 神経科学 / 記憶 / 学習 / ドーパミン |
研究開始時の研究の概要 |
経験から学習し、その記憶によって後の行動を変化させることは、動物が生存や繁殖の競争を勝ち抜くために必須の能力である。学習成立の際、ドーパミン神経が活動し、投射先の神経細胞の機能を修飾することが昆虫から哺乳類まで多くの学習・記憶モデルで知られている。 本研究ではショウジョウバエをモデルとして、このように他の神経の機能を調整する役割を持つと考えられてきたドーパミン神経自体が、学習の際に活動依存的に機能変化を起こし、学習の成立や記憶の維持に寄与するという新たな記憶メカニズムの存在を提唱し、これを検証する。
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研究成果の概要 |
本研究ではショウジョウバエ雄の「求愛学習」をモデルとして、ドーパミン神経における活動依存的な初期応答遺伝子の発現が長期記憶に与える影響とその神経基盤について調べた。初期応答遺伝子Hr38をドーパミン神経で過剰発現させると、通常より短時間の刺激でも長期記憶が形成された。この効果は、学習時の一過的なH38過剰発現でも見られた。また、Hr38をノックダウンした場合には長期記憶の障害が起こった。さらに、Hr38はごく少数のドーパミン神経で記憶の制御に関わることを発見した。Hr38は他の遺伝子の発現を調整する核受容体をコードし、進化的に保存されていることから、他の動物でも長期記憶に寄与する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学習と記憶により行動を変化させることは、動物が生存や繁殖の競争を勝ち抜くために重要な能力である。神経活動依存的に発現する初期応答遺伝子は、脊椎動物においては学習・記憶の基盤となる神経可塑性にとって重要であることが知られてきた。一方昆虫の初期応答遺伝子の脳高次機能における役割はほとんど不明である。本研究成果は初期応答遺伝子Hr38が昆虫の学習・記憶という脳の高次機能における役割を持つことを初めて報告するものである。さらに、本研究成果は、神経機能のモジュレーターとして働くと考えられてきたドーパミン神経自体が、学習時に活動依存的に機能変化するという新たな記憶機構の存在を示唆する点で重要である。
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