研究課題/領域番号 |
21K15189
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井下 拓真 京都大学, 理学研究科, 助教 (00880337)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | シナプス / 伝達物質放出 / カンナビノイド / パッチクランプ / プルキンエ細胞 / シナプス修飾 / CB2 / GPR55 / 即時放出可能シナプス小胞プール / パッチクランプ法 / 神経伝達物質放出 / パッチクランプ記録 / 小脳 / シナプス前部 / シナプス伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
カンナビノイドは逆行性修飾物質としてはたらき、神経伝達物質放出を抑制することが知られている。しかし、その仕組みについては、シナプス前部が非常に小さいため詳細な機能解析が難しく、全貌の理解に至っていない。本研究では、シナプス前部と後細胞両方からの同時パッチクランプ記録と分子生物学的手法を駆使することにより、シナプス前部におけるカンナビノイド受容体の作用点と分子機構の解明を目指す。カンナビノイドがCa2+の流入を抑えシナプス伝達を減弱させるという従来の仮説を検証するだけでなく、Ca2+流入以外の機能特性についても調べ、カンナビノイドが起こす短期可塑性の完全な理解に迫る。
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研究成果の概要 |
神経細胞間の情報伝達は脳機能の根幹である。中枢神経系の多くのシナプスでは、その伝達効率がカンナビノイドにより負に調節される。カンナビノイドは麻から抽出され、精神作用があるため、その作用機序は盛んに研究されてきたが分かっていない点も多い。本研究では、シナプス前部・後細胞からの直接同時パッチクランプ記録を小脳プルキンエ細胞のシナプスに適用し、2種類のカンナビノイド受容体が独自の情報伝達抑制作用を発揮することを明らかにした。具体的には、CB2がシナプス前Ca2+流入を減少させ、一方新規カンナビノイド受容体GPR55は活動電位に応じて膜融合し得るシナプス小胞数を減少させることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は新しく同定されたGPR55について、よく分かっていなかったシナプス修飾メカニズムを詳細に示した。そのメカニズムは従来の理解とは異なる新規性の高いシナプス前部の機能調節である。カンナビノイドは向精神作用や鎮痛作用があるため社会的注目度が高く、本知見はそれらの理解深化に寄与し得る。特に、カンナビジオールというカンナビノイドの一種はてんかん治療や鎮痛薬として期待されており、GPR55にも結合するため、本研究成果が社会的・医学的応用に幅広くつながる可能性もある。
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